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一枚の写真
【初恋 恋愛小説】

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ヒロ兄ちゃんとユキ姉ちゃん-6

「そう!小さい事は気にしない!!」
私が笑顔で言うと、
「美香ちゃん!!」
ユキ姉ちゃんに睨まれた。ヒロ兄ちゃんが、
「ママが怒ったよ!!」
とちゃかしたら
「ヒロ!!いい加減にしなさい!!」
今度はヒロ兄ちゃんが睨まれた。
「ゴメン。調子に乗りすぎた。」
ヒロ兄ちゃんが素直に謝った。
「ゴメンなさい.....」
私も素直に謝った。
「私こそゴメンなさい。ちょっと言いすぎたわ....美味しく食べるのが一番よね!!」
そう言って、ユキ姉ちゃんも手でつまんで口に入れた。
「ユキ!?」
ヒロ兄ちゃんが不満そう言うと、
「細かい事は気にしないの!!」
ユキ姉ちゃんの言葉に私は安心して手で食べた。
「あのなぁ....」
ヒロ兄ちゃんは呆れていたが、
「ヒロはもう食べないの?まだたくさんあるわよ!遠慮しないで食べて!!」
「そうだよパパ!食べて!!食べて!!」
私達が笑顔で言うので、
「ああ....」
ヒロ兄ちゃんは渋々食べ始めた。
「なんか納得できない.....」
そう呟いていた。お弁当が残り少なくなった頃、人参とにらめっこしている私に、
「人参が嫌いなら残してもいいわよ!ヒロに食べてもらうから!」
ユキ姉ちゃんがヒロ兄ちゃんに気づかれないように囁いた。
「大丈夫だよ!」
私は思い切って人参を口に入れた。
「無理をしなくてもいいのよ!」
ユキ姉ちゃんはそう言ってくれたが、
「これ本当に美味しいよ!!本当だよ!!」
確かにそれは美味しかった。
「私今まで人参を美味しいと思った事ないのに、これは美味しかった!ネェどうして?」
ユキ姉ちゃんの顔を見た。ユキ姉ちゃんは困った顔をして、ヒロ兄ちゃんを見た。ヒロ兄ちゃんは一瞬びっくりした顔をしたが、
「それはユキが魔法をかけたからだよ。」
「えっ?」
私もユキ姉ちゃんもヒロ兄ちゃんの顔を見た。
「ユキは美香ちゃんが好き嫌いしないで何でも食べてくれるように魔法をかけてくれたんだよ。」
「本当?」
私はユキの顔を見た。
「ええ....」
ユキ姉ちゃんは少し戸惑ったような笑顔を浮かべていた。
「ママありがとう!!」
私はもう一つ人参を口に入れた。ユキ姉ちゃんはヒロ兄ちゃんの顔を
(どういうつもりなの?)
という感じで見ていたが、ヒロ兄ちゃんは黙って私達を笑顔で見ていた。



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