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一枚の写真
【初恋 恋愛小説】

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ヒロ兄ちゃんとユキ姉ちゃん-13

「ところで明日は何時にどこで待ち合わせる?」
「10時に駅前の花時計前でどう?」
「ああそれでいいよ!!それからの予定は?」
「買い物に付き合って欲しいんだけど....」
「いいけど....もしかしてそのお金を払うのは......」
「ダメ?」
ユキ姉ちゃんは上目使いでヒロ兄ちゃんを見た。
「ユキのそんな顔を見たら断れないんだけど....実はユキが欲しがっていた指にはめる輪っかを買ってしまったもんで.....お金が....その.....」
ヒロ兄ちゃんは申し訳なさそうにユキ姉ちゃんの顔を見た。
「えっそれ本当?」
ユキ姉ちゃんは嬉しそうにヒロ兄ちゃんの顔を見た。ヒロ兄ちゃんが頷くと、
「ねぇ高かったでしょう?いいの?」
「ユキが喜んでくれるなら安いものだよ!!」
「ありがとう!ヒロ!」
「ねぇねぇ指にはめる輪っかって何?」
「指輪よ!」
ユキ姉ちゃんは笑顔を私に向けた。本当に嬉しかったんだろう、その嬉しさが私にも伝わってきた。
「来年は何を貰おうかしら.....」
「えっ?」
ヒロ兄ちゃんの目が点になった。
「ユキちゃん....今何かおっしゃいましたか?」
「えっ?聞いてなかったの?」
「来年は何を貰おうかしらって聞こえたような気がするんだけど.....」
「ちゃんと聞こえていたんじゃないの!!」
ユキ姉ちゃんが笑顔でヒロ兄ちゃんを見た。
「えぇと....その前に俺の.....」
「何か言った?」
「.....何も言ってません.....」
ヒロ兄ちゃんはガックリとうなだれた。
「冗談よ!!冗談!!ヒロは何が欲しいの?」
ユキ姉ちゃんが笑いながらいうと、ヒロ兄ちゃんは少し考えて、
「ユキが今まで通りそばにいてくれたら何もいらないよ!!」
ユキ姉ちゃんは嬉しそうに、
「ヒロ....」
ヒロ兄ちゃんを見つめた。そこに父が入ってきた。
「裕貴君申し訳ないが明日の待ち合わせ時間まででいいから出てもらえないかな?」
「えっ?」
「バイトが一人、明日休みたいという連絡が入って、人手が足りなくなってしまったんだよ。なんとかならないかな?」
ヒロ兄ちゃんは困った顔でユキ姉ちゃんの顔を見た。ユキ姉ちゃんは笑顔で、
「いいですよ!私達も無理を言って休みを貰ったんですから少しくらいは....ねっそうでしょうヒロ!」
「ユキがいいというなら、俺は構いませんけど...」
「それじゃぁお願いするよ!」
「ハイわかりました。」
「明日、小森さんが9時半頃来る予定だから....出来ればそれまで....」
「9時半なら待ち合わせ時間までに間に合いますからいいですよ。」
「すまない....本当に助かるよ!!」
そう言って父は部屋を出て行った。
「ユキ本当にいいの?」
「こっちも無理を言ってるんだから断れないでしょう?」
「そうだね....あっそうだ!これ美香ちゃんに....」
「なぁに?」
「この前の写真だよ」
ヒロ兄ちゃんから写真を手渡された。見るとほとんどが私とユキ姉ちゃんの写真だった。
「私とユキ姉ちゃんばかりだね!」
「俺は写真を写していたからね!」
ヒロ兄ちゃんが写っていたのは一枚だけだった。それがこの写真である。その後ヒロ兄ちゃんは仕事に戻り、ユキ姉ちゃんも暫くの間私の相手をして仕事に戻った。二人が帰った後母が、
「明日はついて行ってはダメなんだからね!!」
私に強く念を押した。
「わかってるよ!!明日はついて行かないよ!でも...次の時はまた一緒に遊びに行ってもいいでしょ?」
「ダメよ!!二人に迷惑でしょ!」
「そんな事ないもん!!ヒロ兄ちゃんもユキ姉ちゃんも私と一緒に遊びたいって言ってもん!」
母はため息をついて、
「明日ヒロ君に聞いてみるわ。」
そう呟くと部屋を出て行った。私は三人で遊びに行く日の事を想像しながら眠りについた。



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