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一枚の写真
【初恋 恋愛小説】

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ヒロ兄ちゃんとユキ姉ちゃん-12

私達が家に着くと母が店から走って来た。私の家は店舗が住居に併設されているので、私達が帰って来たのが見えたのだろう。
「今日はゴメンね!!美香はちゃんといい子にしていた?」
「ハイ!とてもいい子でしたよ。」
ヒロ兄ちゃんは私を降ろしながら答えた。
「二人の邪魔しちゃったんじゃない?」
「そんな事ないですよ!ねっヒロ!」
「ハイ!」
「それならいいんだけど....」
母はまだ少し気にしているようだった。
「それじゃぁ私達はこれで.....バイバイ美香ちゃん!!行こうヒロ!」
「うん!じゃぁね!美香ちゃん!!」
二人が帰ろうとすると、
「ちょっと待って!」
母が二人を呼び止めた。
「えっ?」
「これから何か予定があるの?」
二人は顔を見合わせて、
「別にこれといってありません。どこかで食事して帰ろうかと....」
「それなら、うちの店で食べていって!主人もそうしてもらえって言っているから!ねっ!!」
「えっ....でも....」
二人が躊躇っていると、
「それくらいさせて!もう用意はしてあるから!」
「じゃぁお言葉に甘えて....」
「それじゃぁお店のほうに行って!すぐ用意するから!」
母は安心したように言った。二人が店のほうへと歩いて行った。私が二人の後について行こうとすると、
「美香はダメよ!」
母が私を呼び止めた。
「今日はずっと二人に甘えていたんでしょう!だからこの後は二人きりにしてあげてね!!」
「はぁい」
私は渋々母に同意した。
「じゃぁまたね!美香ちゃん!!」
「うん!バイバイ!ヒロ兄ちゃん!ユキ姉ちゃん!また明日ね!」
私は家に入るとすぐにソファーの上で眠ってしまった。昼間はしゃぎすぎたせいか目が覚めたのは次の日だった。


「ねぇヒロ!明日は遅れないでよ!」
5月5日はユキ姉ちゃんの誕生日なので、二人は休みを取る予定だった。その前の日、私とヒロ兄ちゃんとユキ姉ちゃんは遅い昼食を食べていた。
「えっ?俺はデートに遅れた事ないけど.....」
「そうだっけ?」
「なにすっとぼけた事言ってるんだよ。遅れて来るのはいつもユキのほうだろう!」
「女の子はいろいろ準備が大変なのよ!」
「準備ねぇ....」
「そうよ!ヒロだって自分の彼女は可愛いほうがいいでしょう!」
「それはそうだけど....」
「私はヒロにとって自慢の彼女でいたいからこれでも頑張っているのよ!!」
「それなら早く起きるとか.....」
「あら!睡眠時間も大切なのよ!!」
「ハイ...わかりました....遅れないようにします....」
「それでいいのよ!!」
「美香ちゃんはユキみたいにならないでね」
ヒロ兄ちゃんが小声で私に囁くと、
「ヒロ!聞こえてるんだけど....」
「.....すみません....」
「ヒロ兄ちゃん?ユキ姉ちゃんが怖いのになんでいつも一緒にいるの?」
私の言葉に二人は一瞬固まった。
「ユキの事が好きだからだよ!!」
「えっ?でも....」
「今のは、本気で言っているんじゃないよ!冗談を言って楽しんでいるんだよ!!そうだよねユキ!!」
「えっ..そ..そうね....」
「本当?」
「そうだよ!!」
「ヒロ兄ちゃんがそう言うならいいや」
私は正直よくわからなかったが、自分で自分を納得させた。


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