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愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

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愛しのお菊ちゃん5-1

デートだってばお菊ちゃん


トン♪トン♪トン♪トン♪――。
翌朝、僕に心地いい目覚めを持たらしたのは。
キッチンから響く心地良い音であった。

ヨダレの痕を擦りながらキッチンに向かうと。
流し台に向かうお菊ちゃんの後ろ姿が。
うふっ…襷掛けなんかして…可愛いなぁ。
「おはよう!お菊ちゃん」
その後ろ姿にニッコリと微笑みかける僕。

「お…おはようございます!俊樹さま」
びっくりした様に振り返るお菊ちゃん。
そして…。
「申し訳ごじませぬ…厨と魚と少々、野菜や豆腐を使わせて頂きました」
深々と頭を下げるお菊ちゃん。

「いいって…いいって」
ニコニコ顔の僕。
だってチラッと見える先には色々な料理が。
僕に作ってくれたんだよねぇ?

「あの…膳は…膳はどちらに?」
モジモジとしているお菊ちゃん。

「ん?それは?」
ワザとらしいけど流し台の上に置かれた料理について尋ねちゃった。

「こ…これは…俊樹さまに…俊樹さまに召し上がって頂きたくて…あっ!お口に合うかどうか判りませぬが!」
目を見開いて訴えかける様なお菊ちゃん。

「お…お菊ちゃん!」
僕は感動なんてもんじゃない。
嬉しさのあまり涙が出そう。
「ありがとう!本当にありがとう!このテーブルに置いてさ!一緒に食べよ!」
僕は新婚さんみたいな…夢の様な展開にテンションが上がりまくって。
お菊ちゃんが作った料理をテーブルに並べる。
揚げ出し豆腐とか焼き魚とか。
野菜を煮っ転がした物とかとっても美味しそう。
いや美味しいに決まっている。
「ご飯はここにあるからさ」
電子ジャーを開けてご飯をよそる僕。

「い…いつの間にご飯を炊いたのですか」
電子ジャーを見て目を丸くしているお菊ちゃん。

「これは昨日、炊いたご飯なんだよ」

「これは…おヒツにございますか!?」
まだまだ驚きが収まらないお菊ちゃん。
温かいままなのが不思議でしょうがないないみたい。
ん?でも何でキッチンが使えたんだろ?

「でも…よく使えたねぇ…このキッチ…いや厨」
僕は素朴な疑問を口にしてみた。

「実は御隣さまの家にそっとお邪魔して使っている様を拝見させて頂きました」
イタズラっぽくペロッと舌を出すお菊ちゃん。

そうなんだぁ。
でも…そのペロッってすっごく可愛い!
「そっかぁ!本当に勉強熱心だねぇ…お菊ちゃん」
また可愛いだけじゃなくて…本当にいい子だ。

「は…恥ずかしゅうございます」
僕の言葉に顔を伏せちゃうお菊ちゃん。

「さ…お菊ちゃん…早くたべよ」
僕はそんなお菊ちゃんをテーブルにつかせると作り置きの味噌汁の鍋の蓋を開けた。
おっ!温め直して更に更に別の具まで入れてある!
凄いよ!お菊ちゃん!
ではさっそく。
「いただきまぁす」
ニコニコの僕。
揚げ出し豆腐をパクっ。
おぃずぃぃぃ!
野菜の煮っ転がしは?
これもおぃずぃぃぃ!
お菊ちゃんの手料理はお世辞抜きに凄く美味しくて。
今日の朝御飯は僕の人生において最高の朝御飯だった。



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