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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨11¨-2

さあ、ここからは別々だ。お互いの彼氏の為に張り切ってチョコを作らなくちゃ。

遥はボールに薄力粉を入れて、それに砂糖を加えて混ぜ始めた。
弥生は俎板の上に板チョコを乗せて、細かく刻んでいる。
2人ともいったいどんなのを作るのか楽しみだけど、私も頑張らなくちゃ。

包装紙を破って苺のチョコを取出し、俎板に乗せた。
お菓子の本を見ながらやるから時間かかりそうだけど、大丈夫。
書いてある通りにやれば失敗しないはず。
・・・賢司くんに喜んで欲しいからね。
えっと、チョコを溶かすにはどうしたら・・・

「んっ、んっ、よいしょ、んんっ」

遥がボールに入れた薄力粉を入れてこねている。バターを入れて、混ぜ合わせながら更にこねている。

「熱っつー。火傷しない様にしなきゃ・・・」

弥生は溶かしたチョコにコーンフレークを入れて掻き混ぜていた。
慣れないお菓子作りで大変なはずなのに、2人ともいい顔をしている。
多分、考えてる事は私と同じだと思う。

私はハートの型に溶かしたチョコを流し込んで、それを冷蔵庫に入れた。
遥は作った生地を型でくりぬき、温めておいたオーブンに入れる。
そして弥生はカップに中身を移して冷蔵庫に入れた。
やってみたら結構簡単だったみたい。

「あとは、完成するのを待つだけだね。速人のやつちゃんと喜ぶかな」

言葉とは裏腹に弥生は自信有りげに笑っていた。

「ちゃんとリアクションするかな、成敏。苦笑いしないといいけど・・・」

遥は、ちょっと心配そうだった。
大丈夫だよ、きっと成敏くんは喜ぶはずだから。

・・・賢司くん、大丈夫かな。
こういうのあんまり好きそうじゃないから、ちょっと心配だな。
でも、ここまできたらあとは明日渡すだけだ。

〜(Haruka's Side)〜

「今日ってバレンタインなんだよね」

手を繋いで歩きながら、成敏が呟いた。
自分から言うとは思ってなかったからちょっと意外。

「チョコ欲しいの成敏」
「いっいや違うよ、そんなつもりじゃないから!」
「なんだ、いらないの。せっかく作ったのに」
「遥のいじわる・・・」

唇を尖らせて拗ねるのが可愛くて、思わず頬を突いてしまった。
ちょっとした事でころころ表情が変わるから、成敏と一緒だと変化があって楽しい。

付き合い始めてまだ2ヶ月しか経ってないのに、喜怒哀楽一通りの表情は見たと思う。
普通の男の子はあまり女の子の前では泣きたくないものだって思ってたけど、成敏は違うらしい。
怖い目にあったらすぐ泣きそうになるから、ちょっと危なっかしい所もある。
でも、笑う時はちゃんと笑うし、意外によく怒ったりもするから、羨ましいんだ。
私は強がっちゃうところがあるから、これからは成敏を見習って少しずつ素直になっていきたい。


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