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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨7¨-6

「こないだは・・・ごめん」
「んあ?こないだって何だよ」
「・・・あたし、酷い事言った。あんたの事、カッコ悪いって」

ずっと引っ掛かってた。
言うの我慢してたけど本人の為だと思って、言っちゃったんだ。
でも、言い過ぎたかなってずっと・・・悩んでた。
自分から謝るのは変だと意地はってたし、その後も速人の様子は変わらなかったから、言わなかったけど。


「・・・・・・」


速人は何も言わず、静かに腰を上げた。
そして、ゆっくりあたしの隣に腰を下ろす。


「何を謝る必要がある」
「えっ、だって・・・あんたを傷付けたから」
「いいんだ。寧ろ、こっちが言わなくちゃならねえ。ありがとう・・・ってな」


どうして・・・?
怒って、ないの。速人。


「色々考えたのさ。どこがカッコ悪いのかって。
それは直ぐ分かったよ。確かに無理矢理人のいねえとこ連れてきて告白じゃ、みっともねえもんな」
「・・・びっくりしたし、呆れた」
「だろ。でさ、お前の事を考えた。そしたらなんにも知らねえって気付いたんだ。好きなものが何か、嫌いなものがなんなのか・・・」

そういえば速人は今日、やけにあたしの反応を気にしてた。

「だから知りたくなったんだ。もう、すごく。本気でお前の事が知りたくなったんだよ」

あんないい加減な奴が、本気であたしを・・・

「そう思わせてくれたのは弥生、お前だ。だから・・・感謝してるよ。ありがとう」

あたしに向き合おうとしてる。
真剣なんだ。

速人は隣に座ったまま、あたしの手を握って・・・


「好きだ、弥生。俺と付き合ってくれ」


杏子が言ってた、キュンってなる感覚は、たぶんこれだ。
どうしよう、喉までバクバク鳴ってる・・・ちゃんと返事できるかな。
しなくちゃ。速人は真剣なんだし、その想いに応えるんだ。


「・・・・・・うん、あたしでよければ。よろしくね」


観覧車から降りても、手は繋いだままだった。

「うわー、真っ暗だな。夏過ぎると日が暮れるの早ぇよな」
「うん・・・」
「・・・弥生」
「え・・・ちょ、ちょっと速人?」

目を閉じて唇を近付けてくる。
ま、待って、まだ心の準備が出来てない。
でも・・・したいなら、分かった。



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