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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨7¨-2

〜(Yayoi's Side)〜

速人はあれから・・・全然変わってない。
あたしにカッコ悪いと言われた翌日、またヘラヘラしていた。
少しはへこむのかと思ったけど全く変わった様子も無くて、言い過ぎたと心配してたけど安心した。
でも、同時に呆れた。
もう何言っても速人は目を覚まさないのかなって・・・
あたし達、もしかしてずっと友達のままなのかな。

「は、速人?!」
「何してんだ、もうゼミ終わってんぞ」

気付いたら速人があたしの隣に座っていた。
いつ終わってたんだろ、やば・・・考え事しててまるっきり聞いてなかったよ。

「どうした、なんか考えてたのか。ぼーっとしてたぜ」
「別に・・・何食べようか考えてただけ」

言えない。
本人が目の前にいるのに、あんたが惚けさせた原因だなんて。

「お前今日はもう予定無いよな。俺もなんだ」
「・・・うん、無いけど」
「じゃあさ、遊びに行かねえか。暇だろ?」

また、突然なんだから。
でもどうせお金持ってなくて、悪いな貸してくれだろうね。
こいつはあたしを財布だと思ってるに違いない。

「あまり乗り気じゃなさそうだな。大丈夫、今日は奢りだ」

こっちの考えてる事を察したのか、財布を取り出しておどけている。
それとも、自分の行動を顧みてやっと自腹を切るつもりになったのか・・・
ううん、あり得ない。自分の財布を持たないこいつが、自腹なんてまずない。

「嫌か?いいだろ、2人とも空いてる日ってなかなかねえしよ、たまには遊ぼうぜ」

学校の帰りにCD買いに行ったり、本屋に寄ったりした事はあった。
たまに食事にも行くけど、考えてみたら2人だけで遊ぶのって無かったかもしんない。

「どうだ、皆で遊ぶのもいいけどよ、2人ってのも違った感じがしていいんじゃねえの」

果たしてどこに連れていくつもりなのか、少し興味がわいてきた。
分かったよ、付き合ってやるか。友達としてね。

「じゃあ行ってもいいよ」
「オッケー。行こうぜ!」

・・・そう、友達。
あたしと速人はそういう関係なんだ。
それでいいじゃない、楽しそうなんだし。

「で、どこに遊びに行くの」
「並ぶ、叫ぶ、もう一回やりたくなる。これがヒントな」

また直接言わず変な言い回しを・・・
なんだろう、並ぶ、叫ぶ、そしてもう一回やりたくなる・・・?

「映画観るの?」
「ブッブー。もっと知恵を搾りなさい」
「えっと、お化け屋敷!」
「ブッブー。でも近いかな。いいや、正解にしとく。遊園地な」
「ジェットコースターじゃないの?で、もう行くの」
「ああ。まだ昼だし余裕で遊べるだろ、ほら」

学校帰りに遊園地に行くのは別におかしくはないと思う。
でも速人がわざわざあたしを連れていくのかと思うと、何故か複雑な心境だった。


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