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冬の日の出来事。
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その後の出来事。-4

「つぼみ!」
「…」
「お前何一人で帰ろうとしてんだよ!一緒に来たんだから一緒に帰――…、…つぼみ?」

最悪。
一生の不覚。
朋久の前で泣いちゃった。
悔しい、涙が止まらない。

「どーしたんだ、お前…」

理由なんか話せるはずがない。とにかく少しでもこいつから離れたくて地下駐車場まで早足で向かった。
エレベーターで二人っきりになるのが嫌で非常階段を一気に駆け降りたのに、同じ速さで朋久も後に続く。

「やっぱりつむぎに先越されて悔しかったんだろ」

違う、そんなのどうでもいい。

「それともあれか?出会いがなくてがっかりしちゃった?」

お前と一緒にすんな!はなからそんなもん望んでないわ!!

「なぁ、つぼみ」

うるさい!

「お前、その格好」

何よ。

「肩なんか出して、何してんだよ」
「っ!?」

気付かれた!?
ドキドキするのを押さえてゆっくり振り返ると、困った顔をしてまっすぐあたしを見ている。

「お前――…」

次に続く言葉を想像して、恐さと期待でコートを持つ手が震えた。

「お前、寒いんだろ」
「………」

こいつ、駄目だ。
得意満面の顔でそう言う朋久に、もう返す言葉はない。
何も分かってないじゃん。

「泣くほど寒いんならコート着ろよな。何月だと思ってんだよ」

あたしの中の何かが音をたてて崩れていくのを感じる。

もう、どうでもいい。

へらへらと笑うバカの手首を力いっぱい掴んだ。

「何だよ」
「…」

警戒する朋久には一切目を向けずにその手を胸元へ近づけ、

「つぼ…」

その手の平を、あたしの左胸に強引に押し付けた。

「なっ」

振り払おうとする手首を両手で押さえるも、結果女の力が男に敵うはずもなく、あたしの両手はあっさり解かれてしまった。


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