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冬の日の出来事。
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その後の出来事。-3

「なんか、暑くない?」

昔、何かのドラマで見たシーンをそのまま再現してみた。
おもむろにショールを解いて胸元を露わにする。

あたし胸はそこそこ大きいんだから。下着だって高いの使ってるもん、寄せて上げて形も谷間もバッチリ。いくらこいつがバカの一つ覚えみたいにつむぎを好きでも、目の前に胸元が来たら見るだろう。
意識せざるを得ないだろう!!

「つぼみ…」
「…」

予想以上に目が胸元に来てた。
あれ、顔が真剣だ。
ていうか、近づいて来てない?
顔だけじゃない、手も首筋に向かって伸びてきてる。

えっ、マジで?
こんなくだらない作戦が上手くいっちゃうの?
ていうか、こんなとこでキスされちゃう!?
いいけどさ、全然人がいたって構わないけどさっ。
ゆっくり近づいてくる顔に合わせてそっと目を閉じたその時だった。

「金属アレルギー?」
「…」

目を開けると、さっきと変わらず真剣な顔をした朋久がいるのだけど、その目は胸元ではなくキラキラと輝くネックレスに向けられていた。

「は…」
「ほら」

人差し指がネックレスを少しだけ持ち上げる。

「赤くなってるし」

首から上の体温が急上昇するのが分かった。

「これは―」

恥ずかしい。
そんなの指摘されるなんて…

「バカだなー、こんな似合わない物つけるから」
「…っ」

無言で席を立って、ネックレスを外して朋久に向かって投げつけた。

「何す―…、つぼみ!?」

呼ぶ声を無視して式場の受付に向かうと、預けておいたコートを番号札と引き換えてそれを持ってすぐにその場から離れた。

「つぼみ!」

あたしの態度の急変に何かを察したらしく、慌てて後を追って来る。だから自然にこっちの足も速くなる。
コツコツとヒールが床を叩く音がやけに大きく聞こえた。

自分の体質くらい分かってるよ。痒くなるかなって覚悟はあったよ。でも一目見て気に入っちゃったんだもん、可愛かったんだもん、着けたっていいじゃん。
朋久に見て欲しかったの。
見せたかったの。
なのに、似合わないなんて、ひどい…


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