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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨3¨-1

目が覚めたらゼミが終わっていた。
よし、最近は終了時間きっかりに起きられる様になってきたぞ。
前は寝坊して次のゼミの先生や生徒が入ってた、なんてのがよくあったからな。
俺の睡眠もようやく板に付いてきたというとこか・・・
さすがは俺だ。しかし充分な睡眠は取れなかったらしく、まだ頭がぼーっとしていい気分じゃない。
仕方ない、二度寝するか。


「速人っ!!」


顔を突っ伏した丁度その時、いきなり後ろから頭をひっぱたかれ、目の前に火花が散った。
こ、この角度で拳骨を入れられるのはあいつしかいねぇ・・・

「は、速人はいないよ。僕は成敏だってば。いきなりひどいじゃないか織田さん」
「なら顔見せてみな、こっち向きなよ」
「いっいまので顔に痣が出来たから見せられない、僕は成敏だよ・・・」

すると織田さん、もとい鬼ババーが俺の前にしゃがみこんだ。
うわっ目が合った!鬼って真っ赤な目してるらしいがマジだったんだな。

「あんたの冗談はつまんないのよ、速人」
「わ、悪いな、実は俺は賢司なんだ。速人は来てないぞ、ゼミが無いとか」

そしたらほっぺをつねられ、ぐいぐい引っ張られた。
ただ起こす為だけにやったと思ったら、俺を立たせようと強く引っ張り上げてくる。

確か同じゼミ取ってたんだっけ。ついてないとはこの事だよなぁ。バレない様に一番後ろにしときゃ良かったが、今日は特に眠かったからつい前の方に・・・

「やめてくれ弥生、みんなが見てるから」
「こっち来い、いいから来い、ほらっ立ちなさい!」

俺は笑わせるのは好きだが笑われるのは好きじゃないんだぞ。
似てる様でまったく違う。こいつはそれがよく分かってない。

キレ気味の弥生に講堂から連れ出され、ラウンジまで連行されていく。
その間ずっと耳を引っ張られていたのでかなり痛かった。

「座れっ!」
「やだ、今から怒りますって顔に書いてある」
「いいから座れっ!」

椅子の前で両肩に手刀を食らわされて、思わず尻を落としてしまう。
弥生は俺のすぐ隣に座り、いきなりテーブルに拳を叩きつけた。

「何すんだよ、いきなり人の事連れ出して。いくらデートだからって、頼み方ってもんがあるだろうが」
「あたしがそんな事であんたを連れてきたと思うの?」

ふぅー、と心底呆れた様にため息を吐く弥生。
な、なんだ、違うのか。2人になりたい、イコール男女交際じゃないのかよ。
なんて冗談はさておき・・・いくら俺でもこいつが本気で怒ってるのは分かる。
しかし、何故怒り心頭なのかは分からない。全く身に覚えが無いんだが・・・


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