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ホテルノヒカリ
【OL/お姉さん 官能小説】

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ホテルノヒカリ4-2

夢うつつのまま私は土曜日を迎えた。

前の夜は徹夜だった。
お肌には悪いが手作りお弁当の為には仕方がなかった。
唐揚げにタマゴ焼き、タコさんウィンナーにサンドイッチ。
地味で定番の物ばかりだが私には死力を尽くした物ばかりだった。
作り方は同僚から習ってきたし…都合五回も作り直した結果、そこそこ出来栄えになった。
後は士郎さんを待つばかりだ。
今日こそはこの手作りお弁当で士郎さんの胃袋をしっかりキャッチだぜ!!

士郎さんのお迎え…天国からのお迎えであった。
っても私は生きてるよ。
生きて幸せを噛み締めてるよ。
と言っても天国を歩く様なフワフワ感でネズミの王国に向かった。

今まではデートで行けないひがみからか…ネズミの王国なんて呼んでいた私だったが。
今日はまさに夢の国であった。
岩山を模した所を走るジェットコースターも海賊共の巣窟もあんまり怖くないマンションも…どれも異常に楽しかった。
だけど士郎さんの隣が一番楽しかった。
士郎さんもよっぽど楽しいのかずっと笑いっぱなしだ。
テンションが上がりまくった私。
年甲斐もなく例のでっかいネズミ耳の付いたカチューシャをして士郎さんの笑顔を独り占め。
本当に楽しい…嬉しい…生きてて良かった。

「お弁当、食べよ」
私は生まれて初めて出す様な可愛い声を出してしまった。
「そうですね」
楽しんでるけど…此処でも礼儀正しい士郎さん。
警察官の鏡だなぁ。
ベンチに座ってお弁当を広げる私。
夢だったんだよなぁ…手作りお弁当デート。
夢の国でその夢が叶うとは…。

「はぁ…美味しかった。ごちそう様です」
其処まで美味しいとは思えない様なお弁当だったけど。
士郎さんはすっごく喜んでくれた。
ホントいい人だよなぁ。
いい人だし、カッコいいしホントに緊張だよぉ。
お弁当を食べ終わると不意に緊張が襲ってきた。
私…ガチガチになって士郎さんの横に座ってた。
「森野さん…実は僕…」
士郎さんがハニカミながら喋り始めた。
なになに?もしかして告白!?
「は…はい?」
揃えた膝がガクガク…新たな緊張が襲ってきたぁ。
「ある人を好きになっちゃて…」
「へっ?」
意外な言葉に私は口をアングリと開けてしまった。
そ…相談だぁ…って事は?
私泣きそう。
「そ…そうなんですか!し…士郎さん素敵な方ですもんねぇ」
私…訳が判んなくなってきて的外れの答え。
なんか…さっきまであんな晴れてた私の心…一気にゲリラ豪雨だよぉ。
「ありがとうございます…で告白しようと思ってるんですけど…」
士郎さん優しい顔してるなぁ…好きなんだな、その人の事。
あぁぁ!その優しい顔が私に向く事はもうないのかい?
「し…士郎さんなら…きっとうまくいきますよ」
私は涙を堪えて作り笑顔で答えた。
うまくいって欲しいのか…駄目になって欲しいのか…。
本心が自分でも判んないよぉ。
助けておくれよ!…ミッキー!
私はバタバタと走り去りたい衝動に駆られた。


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