投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『武骨くんと鎖骨ちゃん』
【フェチ/マニア 官能小説】

『武骨くんと鎖骨ちゃん』の最初へ 『武骨くんと鎖骨ちゃん』 6 『武骨くんと鎖骨ちゃん』 8 『武骨くんと鎖骨ちゃん』の最後へ

『武骨くんと鎖骨ちゃん』-7

…それは一体、何秒間の出来事だったのだろう。

洸太郎のくちびるが離れた瞬間に、李湖は力が抜けて、思わず洸太郎の服をつかんでしまった。

…―あ、やば…

それはまるで、もっと、と要求しているようで。

ほおのゴツイ手のひらが、うなじに回って、ぐっと引き寄せられた。

しかし、熱いくちびるが触れた、と思った瞬間―…

「にゃははははぁ〜!」

突然サナの笑い声が、宿、駐車場、表の道にまで、高らかに響き渡った。

路上にいた二人は、びくっとしてそちらを伺う。
宿の敷地は石垣と樹木で囲われており、外からは見えない。
ザッザッ、と、幾人かの足音が、こちらに近付いてきているようだ。

とっさに、洸太郎は李湖の手を引っ張り、電柱の陰に身を隠す。
そこは、夏祭りの大きな看板が立て掛けてあり、幅は二人でも丁度良かった。

「せんぱぁい、あたし、桃のチューハイね〜!」

「あ、オレ、いつものタバコねー!」

「マジかよ、タバコって、遠い方のコンビニじゃん!」

「そうっスよ、こっから30分はかかるじゃないスか!」

「にゃはははぁ、ゲームで負けたんだからね、二人とも!
行ってらっしゃ〜い!」

息をひそめて、身を縮める。
…くちびるに当たる、固い男性の手のひら。
それだけが、頭が真っ白になった李湖が認識できる、唯一のものだった。

電柱の陰で、李湖は後ろから洸太郎に抱きすくめられていた。
20cm以上もの身長差のせいで、すっぽりとくるまれている。
そして、口は、あの武骨な指に、完全に覆われていた。


『武骨くんと鎖骨ちゃん』の最初へ 『武骨くんと鎖骨ちゃん』 6 『武骨くんと鎖骨ちゃん』 8 『武骨くんと鎖骨ちゃん』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前