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『武骨くんと鎖骨ちゃん』
【フェチ/マニア 官能小説】

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『武骨くんと鎖骨ちゃん』-1

ここに、武骨な男が一人。

「ったく、明日から夏休みだってのに…
こんな曇り空じゃ、気分が盛り上がんねぇな」

ぶつくさ思いながら校舎を出ると、いつもの癖で、となりの学部に目をやる。

―…今日は、いるかな。



「ひゃー、まだ昼過ぎだってのに、こんなに真っ暗…。
でも明日から休みだし、こんなどんより空も、気になんなーい」

ここに、一人の前向き女。
襟元からは、鎖骨がちらり。


「おい、デコ!
そのでこっぱち、ちゃんと日焼け止め塗ってんのか!?
曇りの日の方が、日焼けするんだぞ〜」

そこへ声をかけるは、はだけた胸元のチャラ男…まるでホストのようだ。

「んもう、デコって呼ぶな!
リコですから!」

「もうすぐ合宿あるんだって?
その間は、ちゃんと塗っとけよ!
じゃな〜、良い夏を〜」

「いてっ!」

チャラ男は、でこっぱちにでこぴんすると、手を挙げて去っていった。

「…くっそ〜、日焼け止めくらい塗っとるわい。
あいつこそ、あんなに髪の毛パッサパサのくせに!
陽に当たって、ボロボロなのがバレバレだい!

…ん?"陽に当たって"?」

じと目でチャラ男を見送っていた、
前向き女・橋島 李湖
は、そのでこっぱちを空へ向けると、雲に切れ目ができはじめたのを見つけ、にっこりと笑って、夏休みへの第一歩を踏み出した。


その李湖の、黒髪をきゅっと結い上げたうなじを、後方20mから見ながら、
武骨な男・小沢 洸太郎
は、夏休みをため息と共にスタートしたのだった。




――二週間後。

「やっと着いたぁ!」
「遠かったな…」
「さっきのコンビニから、1kmはあったんじゃないか?」

珠河大学草野球サークルの面々は、暑さに辟易しながら宿にたどり着いた。
珠河大学の秋の学祭では、サークル対抗の大会がある。
優勝目指して、今日から2泊3日の合宿で、みっちり練習をするのだ。
幸い、一週間は天気予報に晴れマークが並んでいる。




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