WAKE UP!-2
「!」
すぐさまドアをあける。
「お前もそろそろ身体が疼いてきてるんだろ?」
「変なこと言わないで。今更なに?帰って。もう私、好きな人がいるの」
そこにいたのは、彼女の元彼だった。
彼女は彼から酷い仕打ちを受けて別れたのだった。
と、いうか、僕がそれにつけ込んで奪い取ったともいえるかもしれない。
過去がどうであれ、僕は彼女を手放すつもりはない。
彼女も僕を好いてくれている筈だ。
いつも柔らかに笑う彼女が僕にそう確信させてくれる。
「圭さん」
ドアが開く音に振り返った彼女は泣きそうな顔をしていた。
「こいつか?だっせー」
彼は値踏みするように僕を見、悪意を投げつける。
確かにヨレヨレのスウェット姿に寝起きの頭。それは否定しない。
「孝文よりずっと…」
「はいはい。玄関先で騒がない」
僕は彼に言い返そうとする美里さんの口を手で塞いで引き寄せる。
彼女がなにか言い返してくれようとするのはうれしいのだけどね。
「部屋に入ってなさい」
僕は二人に割り込むように立ち、彼女を部屋の方に押した。
「でも…」
「いいから!ドアも閉めて」
僕は半ば睨み付けるようして彼女に言った。
「はい…」
彼女がドアを閉めた。
あーあ。怖がられちゃったかなあ。
…こいつのせいだ。
「君はあっち」
僕は彼の腕をひょいとひねり後ろ手にして押した。
「いてっ」
「はい、歩いて階段降りてね」
腕を封じらて思うように動けない彼のペースに合わせて下に降りた。
ま、コイツが転けようがどうだっていいけど。
下まで降りてから突き飛ばすようにして腕を放した。
「もう彼女の前をウロチョロしないでくれないかなあ」
「なんだよ。もう男を連れ込んでたのかよ。あの淫乱、仕方ねえな」
彼がへっ。と嗤った。
僕はむかっ腹がたって彼の襟を掴み持ち上げる。
「彼女を悪くいうな。おまえが無茶やらかして逃げられたんだろ。他の割り切ったのとつき合えばいいだろうが。髪の長いコでも、泣きぼくろのあるコでも、赤いフレームの眼鏡のコでも」
ゆさゆさと揺らしながら、店に来ていたオンナノコの特徴を言った。
彼の顔色が変わった。