WAKE UP!-5
「大嫌い?」
「なわけないでしょ」
とかいいながら。いつもの『ぷい』。
口を尖らせて、横を向いてしまう。
彼女は僕から離れて洗面所に行った。
怒ったふり。
彼女が本気で怒ったのは見たことないけど、まあ、そんなのは見たくないかな。
『ぷい』は可愛くて結構好きなんだけど。
なんだかんだいいながら、バッグの中をチェックしたり、コートを出したり。
出かける用意をしてくれてる。
「圭さんはそのかっこでいーの?」
「んー。いけないかな?」
自分の着ている服を引っ張る。寝間着兼普段着のスウェット。
「いけなくはないけど。寒くない?」
「うーん。着替えてきます」
僕は彼女の部屋を出た。
彼女は初めっから僕のだらけた姿を知ってるから、特に気を使ったことはなかったけど。
やっぱり、もうちょっとマシな格好をするべきなんだろうな。
マシな格好ってなんかあったっけ?
ブルーのストライプのシャツとジーンズ。それからモズグリーンのジャケット。
マシか?マシなのか? …マシかもな。さっきのよりは。
「圭さん?」
彼女が玄関に立っていて。
玄関の方に歩き出す僕をみて
「うふ。カッコイイよ。…いこ?」
首を傾げながら微笑んだ。
彼女の笑みは僕の活力剤(まあ、いろんな意味で)なのは間違いない。
「ああ…」
僕はスニーカを履きながら部屋の鍵を締めた。
fin.