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若芽の滴
【鬼畜 官能小説】

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若芽の滴-8

「……この街……私知らない……」


無我夢中で駅を飛び出し、そこから離れたい一心で駆けたのはいいが、その街は汐里のまだ行った事の無い街だった。
駅に戻ろうにも、何処をどう走ったか覚えてもおらず、僅かな記憶を頼りに歩いた先は、閑静な住宅街だった。

そこに小さな公園があり、真新しい真四角なトイレが設置されていた。
未だ直しきれていない着衣の乱れを直す為、そのトイレに、汐里は駆け込んだ。


(…………)


Yシャツを開け、ズレたブラジャーに手を掛けた……ふいに、後ろに気配を感じ、汐里は振り返った。
そこには、新しい白い壁に、黒いマジックで書かれた悪戯書きしかなかった。
誰もいないのに、絶えず後ろから人の気配を感じる……先程の痴漢被害は、汐里の心までも嬲り、傷付けていた。


「…ヒック…ヒック……」


誰もいない個室で、汐里は一人泣いた……乳首は、さっきの刺激が忘れられないのか、未だに固く尖り、カップに擦れて疼いていた。
パンティも尻の半分程までずり下がり、白い柔肉を晒していた。


「……バカ…バカぁ!!」


それは痴漢達に対してでもあるし、同時に、自分自身に対してでもあった。
一言も言えず、何も出来ず……結局は、あの痴漢達の思うがままに、自分の体を弄ばれただけ……不甲斐ない自分に、そして卑怯な痴漢達に、汐里は苛立ちを覚え、壁にもたれて泣きじゃくった……。





何時間、この個室で泣いていたのか…?
その間も、誰もこのトイレを利用する人も無く、汐里の呼吸の音と鼓動だけが聞こえていた。

もう涙は止まった。
腫れた瞼も治まり、顔の赤みもひけていた。
冷えた体が軽い尿意を覚えていたが、どうしても、この気配が気になる。
それに、パンティに手を掛けるだけで、先程の痴漢の記憶が鮮明に甦る。


(………)


何とは無しに、壁の悪戯書きを見た。


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