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イジメテアゲル!
【学園物 官能小説】

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イジメテアゲル!-5

〜〜

 放課後、英助は教室に居残って一人悩んでいた。
 ここ一週間、彼の周りでは、おかしなことが頻繁に起こっていた。
 朝の通学電車で由美と話すことが増えたのもそうだが、そういう楽しいことばかりでもない。
 たまに上履きに砂を入れられたり、運動着の上を盗まれたりと、災難続き。
 授業中にも後ろのほうからちらちらと刺さるような視線を感じ、たまに廊下ですれ違う女子からは後ろ指を指され、ひそひそ話しをされたりする。もちろん、悪い意味でだ。
 男子の態度はこれといって変化がないが、女子の態度は美奈以外、明らかにおかしかった。
 何か女子に嫌われることをしたのかと首を傾げる英助だが、思い当たる節も無い。
「おい進藤、ちょっと来いよ」
 突然教室のドアが開き、西日と一緒に怒声に近いハスキーボイスが飛び込む。
 女子にしては背の高いシルエットとソフトボールを並べたようなバストの持ち主は、学年中どころか、学校中探しても一人しかいないだろう。陸上部所属の茜沢多香子だ。
 切れ長の目と高い鼻、厚みのある魅力的な唇は部活と水泳の授業以外常に校則違反のルージュを引いているらしい。ボーイッシュなボブヘアーを目立たない程度に染めており、若干不良と思われがちな彼女だが、そのモデルのような容姿スタイルで、由美とは対照的な存在感をもっている。
 ただ、彼女自身一個上の先輩と付き合っているせいか、同年代の男子には興味がないらしく、醒めた視線を返すばかりだ。
 その多香子が何故自分に声をかけるのか? 最近の出来事を踏まえると、思考がどうにも悪い方向に転がってしまう。
「なんだよ。ここじゃだめなのか?」
「ああ、他にも話をつけたい奴がいるんだよ。まったく、クラスのお姫様に手を出そうなんてバカなことするからなぁ」
 ――お姫様って、まさか白河と仲良くしていたのがばれたとか?
 英助が由美と仲良くしたとして、それを他人にどうこう言われる筋合いは無い。しかし、
そういう理屈が通じないのが千恵やこの多香子なのだ。彼女らは由美を可愛がり、そして不可解なまでに過保護であろうとする。
「どうした? 逃げるのか、この痴漢野郎」
 痴漢という言葉にカチンと来る英助。
「俺がいつ痴漢したって言うんだよ。ふざけたこというと怒るぞ」
「おー怖い怖い。そこまで言うなら、来るよな? 潔白を証明してくれよ」
「ああ、望むところだ」
 売り言葉に買い言葉。あからさまな挑発にもかかわらず、英助は彼女の後に続くのであった。

〜〜

 着いた先は体育館の裏の焼却炉前、千恵と由美、それに美奈までいた。
 この女子四名と男子一名というハーレム的状況に、やはり例の小説を思い出す英助だが、彼を見る三人の視線は鋭いものであり、どうあがいても桃色的展開は望めない。
「いったい何の用だよ。こんなところに連れ出して」
 気圧されては相手のペースだと考えた英助は、語尾を荒げながら問いただす。すると、千恵がつかつかと歩み寄り、デコピンで鼻の頭を弾き言い放つ。
「とぼけんじゃないわよ。アンタが由美姫に痴漢を働いたネタは上がってんだからね? まったく、この荒んだ学びやに咲く一輪の可憐な花、誰もを癒すとされる至上の由美姫様に穢れを持ち込もうなどとおこがましい。恥を知りなさい! 恥を!」
 どこか引っかかる言葉選びだが、千恵の怒り心頭具合は分かった。
「はぁ……、英助、私は情けないですわ……まさか由美さんにそのような破廉恥なことをなさるなんて……幻滅ですわ……」
 空中で頬杖をつくように首を傾げる美奈の醒めた視線は、彼を責めるというより、どこか楽しそうな色を含む。いわゆる経験則で感じ取っているわけだが、悲しいことに精度が高い。
「ほら、由美姫も言ってあげて。この前電車で何をされたかを……こういうアホな男子は自分がいかにおろかなことをしたのか気付いていないのよ。それを教えてあげるのは由美姫しかいないんだよ」
 千恵は由美の肩を掴むと、方向性が若干ずれた熱血展開を始めだす。すると由美も意を決したように語り始める。


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