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イジメテアゲル!
【学園物 官能小説】

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イジメテアゲル!-16

「……その、つい、俺ってデリカシーないみたいだから、ゴメン」
「簡単に謝るなよ。バカヤロー」
 彼女は椅子に泣き崩れると、肩を震わせて嗚咽をあげる。
 劇的な展開に焦る英助だが、咽び泣く彼女の背中をさする。
「触るなよ、痴漢やろー」
 涙と鼻水でぐしゃぐしゃになる彼女を胸に抱き寄せ、髪を撫でる。
「ほっとけないよ。俺は慰めるなんて器用なことできないけど、その代わり恋敵だとおもって遠慮なくやっちまっていいよ」
 癖のある巻き毛は日頃の手入れもむなしく外に跳ねている。英助はその一本一本を丁寧に梳く。
「ほんと?」
「ああ、女子に殴られるぐらい平……気」
 言い終わる前に、みぞおちを抉られる。続いてほっぺたをぎゅっとつねられ、ねじ回される。
「い、いはいいはいって、もう少し加減してくらはい……」
 恰好つけたものの、一分ともたず根を上げてしまう。
「なんだよ、根性なし」
「だって、普通こういうときって、胸を軽く叩いて「ばかばかー」っていうもんだろ?」
 少なくとも例の小説にはそう書いてあった。
「それって萌えって奴? マジキモイ……」
「いや、だって、急所狙うとか想定外ですけど」
「はいはい、へたれ英助を頼ったあたしがバカでした。まったく、ほんと使えないわね」
 憎まれ口をたたく割に彼女の目からは涙が消えていた。ただ呆れさせただけかもしれないが、それでも気晴らしになれたらしい。だから英助も、もう少し指に絡みつく髪をいじっていたいと思った。
「なあ、久住は男で誰か好きな奴いないの?」
「なんだよ出し抜けに。ていうか、男なんか興味ないし」
「なんでそんなに男を毛嫌いするのさ?」
「男子ってさ、女子みるとすぐエッチな目で見てくるし、下心みえみえで話しかけてきたりとか、マジでうざいんだよね」
「へー、そんな奴いるんだ……がはっ……」
 英助のわき腹に千恵の拳がめり込む。
「こう見えても中学の時はモテたんだから」
「……さいですか」
 英助と千恵は高校二年になってからの付き合いで、それ以前の事はお互い知らない。春先の自己紹介の頃からきつい性格の女子程度にしか思っていなかったが、今こうして間近にみると確かに可愛らしい。
 ショートでクセに強い外跳ねの髪と、気の強そうな猫目に、ふっくらと官能的な赤い唇。
 普段、由美の隣にいるせいで影を潜めているが、千恵もなかなかの美少女だ。
 ブラウスの第二ボタンが外れており、自慰の最中ブラがずれたのか、谷間が見える。
「久住って着やせするタイプ?」
「やだ、変態、どこ見てるのよ」
 千恵は慌てて胸元を腕で抱いて隠す。
「仕方ないよ。久住は結構可愛いし、その、エッチな目で見られてもさ……」
 彼女に自信を持たせるための発破……、ではなく、下心が言わせる男の本音。
「進藤もそういう風にあたしを見るんだ」
「痴漢やろーの覗きやろーですから」
「ははは、あんたに慰められるなんてね……ねぇ、やっぱり進藤って美奈と付き合ってるんだよね」
「ミーさんとは、別に……そんなんじゃないよ」
「でもチューぐらいしたんだろ?」
「それはまぁ……」
 ついでに言うとお風呂にも一緒に入った仲。もちろん小学生までの話だが。
「なんで付き合わないの?」
「なんでそんなこと聞くんだよ」
「良いじゃん、教えてよ」
「さっきミーさんも言ってたけど、ミーさんは頼りになる男が好きで、俺はただのお友達なんだろ」
 彼自身信じたくない言葉だった。少なくとも友達以上、恋人未満といえる関係だと信じていたのだから。


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