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イジメテアゲル!
【学園物 官能小説】

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イジメテアゲル!-10

「それはダメです! 進藤君も手伝ってください!」
 静寂を打ち破る由美の大声に、一同目を丸くする。周囲の利用者も何事かと好奇の視線を送る。
「あ、ごめんなさい」
 由美が顔を真っ赤にして縮こまると、見かねた美奈がずいと前に出て、執り成し始める。
「まぁいいじゃないの。それとも英助、私達と一緒にお勉強をするのは嫌?」
 美奈は荷物を机の上に乗せると、英助の隣の席に座る。
「嫌じゃないけど、つかミーさんは別のクラスなんだし、関係ないじゃん」
「あら、私にくちごたえするつもり? いつからそんなに偉くなったのかしら?」
 幼馴染のそっけない態度に美奈は「反抗期かしら」と首を傾げる。
 英助は冗談めかしに言う彼女に苛立ちに近い感情を覚えながらも、変に目立つのを避けるため、それ以上は口をつぐむ。
 最近、彼は言い様の無い気持ちに襲われることがある。それは特に美奈と一緒に居るときに感じることが多い。
 もちろん、原因が彼女とのキスにあることも理解している。ただ、理性と感情の歩み寄りが上手くいっていないだけだ。
 キスの後も彼女の英助に対する態度が変わらなかった。自分は強く意識しているのに、彼女は普段と変わらない。それが気に食わなかった。
 美奈はそんな幼馴染の葛藤など知る由も無く、鞄からハードカバーを取りだし読書を始め、手伝う素振りも見せない。
「まあいいよ、別に用事も無いし、中途半端にしとくの気持ち悪いから」
「良かったです。それじゃあ始めるです」
 由美はにっこりと頷くと英助の隣に荷物を置く。すると千恵が彼女の襟首を掴み、彼のはす向かいへと連れて行く。
「ち、千恵ちゃん?」
「由美はここに座るの。進藤にまた変なことされたらたまらないし」
 由美の代わりに千恵が隣に座る。向かいには多香子が荷物を降ろし、すっかり囲まれてしまう。
 今の彼は周りを四人の女子が囲まれるという、ハーレム的状況。
 羨まれるシチュエーションなのだが、隣人からは冷たい視線を向けられ、片手は無関心を貫かれる。前方からは嘲られる。正直、誰かに代わって欲しいとすら思えた。

〜〜

「はーあ、面倒臭い。なあ進藤、後やっといてくれない?」
 しばらく真面目に作業していた多香子だが、根がじっとしていられない性分なのか、早速だらけ始める。
「ダメですよ多香子ちゃん、来年は大学受験も控えておりますし、しっかり勉強をする習慣をつけないと」
「んでも、あたしスポーツ推薦あるし、あんま勉強してもって感じなんだよね。むしろ練習の方が重要? みたいな」
 陸上部のエースで地区の大会でも常にベストプレイヤーに選ばれる実力の持ち主の彼女のもとには、既に近隣の大学からスカウトの話が来ている。
「推薦は良いけれど、留年なさらないでね。お友達として一緒に卒業式を迎えたいし」
 美奈は暇そうに髪を指でくるくる巻きながら皮肉を言う。
「そうだね、気をつけるよ。アタシの場合、誰かさんと違って頭に栄養いかない分、身体にしっかり栄養いっちゃったしね」
 多香子は胸を強調するように腕を組み、挑むように美奈を睨む。
「あーら、たいした胸筋ですこと、女の私でも惚れ惚れするたくましさですわ」
 図書館の片隅で繰り広げられる冷たい戦争に、英助は冷や汗が止まらない。
「なぁ進藤、お前はどっちが好きだ? 小うるさい洗濯板女と、生意気なスタイル抜群の女」
 自分のことを生意気という点では、まだ彼女も自分を客観視できるらしい。
「ちょっと、小うるさい洗濯板女ってどなたのことかしら?」
 問題は洗濯板女。齢一七にして発達の兆しの見えない体型は、彼女自身コンプレックスを持っているらしい。


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