DOLLHOUSE〜prototype〜-9
どのぐらいたったのだろうか。
「セイー。お前もヤッとけよ。せっかくなんだからよ」
ユウが言った。
そろそろ満足したって事なのだろう。
さっきまでは我先にとがっついていたんだから。
「そうだぞー。チャンスは有効利用しないと」
耐え難いほどになっていた。
梶に対する意地だけで僕は逃げ出さず、ヤリもせずを貫いていた。
「はじめては好きな女とやりたいとか思ってるのかな?優等生」
ずっと黙っていた梶が言った。
「うるせえ」
そんな乙女ちっくなことは全く考えてなかった。
いっそ、心の底からそう思えたら、ずいぶん楽だなと思った。
乱暴に押さえつけて事を果たしてしまいたい凶暴な自分がいる。
あの甘い声を耳元でききながら柔らかな身体を抱いて優しくしてやりたい自分もいる。
「それとも。自分だけは彼らとは違うと思ってるのかな」
ケンとユウが顔を上げた。
「おキレイなままで。汚れ役は任せた、ってわけかい?」
「ナンだと!」
梶の言葉に反応したのはケンだった。
僕をにらみつけてくる。
もう、まともに考えることもできないのか。
「よせよ、ケン」
「おまえ、コレを誰かにチクるつもりかっ!」
「誰もそんなこと言ってない」
僕は半ば呆れながら答えた。言ったのは梶で、それも憶測に過ぎない。
コレがばれたら、傷の大小はあっても俺たちは誰一人無傷ではすまない。
得するヤツなんかいないんだ。
下ろしていたズボンを引き上げると、ケンがこちらに向かってくる。
「やめろって」
ユウが腕を押さえるが、振り払った。
「セイはよ、なんかって言うと優等生ぶる。だから先公も俺たち『サンジ』の中でも一番甘くて。やってることは同じなのに、俺とユウばっかりが割を食う」
「だから、よせって。それはセイのせいじゃないだろ?」
「お前だって、思ってるくせに」
そう言われると、ユウは黙ってしまった。
そうか、そんな風に思っていたのか。
それがとてもショックだった。
親友だと思っていた。