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改:愛・地獄変 〜地獄への招待〜
【鬼畜 官能小説】

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改:愛・地獄変 〜地獄への招待〜-9

(合宿)

 娘の居ない日々は、やはり地獄でした。
針のむしろとでも言うべき日々でごさいました。毎夜、妻に嫌みを言われ続けたのでございます。
「娘に甘すぎる!」
「娘が居ないと、途端に帰りが遅い!」等々。
 私ときましたら、そんな妻の愚痴に対して反論することもなく、そそくさと自分の部屋に閉じこもりました。そして娘のことばかりを考える始末でした。子供のようですが、帰る日を指折り数えていたのでございます。それが、それが・・・。
 
 娘からは、合宿の初日から電話が入りましてございます。
「着いたよー!感激ぃぃ、よ。お父さん、ありがとうね。」
ハハハ、ハハハ、ハハハ、でございます。先日の娘の喜びようが、私の五感に蘇ります。娘に抱きつかれてもんどり打って倒れた折の、あの感触が五感全てに蘇ります。そのままごろごろと畳の上を・・。あ、お忘れください、お忘れください、どうぞお忘れを。

 私の傍らでせっつきますので、妻と代わりましてございます。夜叉の如き顔が一変いたします。菩薩様のようにたっぷりの笑みを湛えて、娘と話しております。空気が澄んだ所で、満天に星が輝いていたと申しておりますようで。娘が私にも聞こえるようにと、ひと際大きな声で話してくれております。しかしあまりに喜びに満ち溢れた声に、次第次第に腹が立ってきました。
 妻との会話が長いせいではございません。私には言ってくれた『ありがとう』の五文字を妻には言いませんのですから。腹立ちの訳は、別のことでございます。私の元よりも良い所があるなど、到底考えられません。有ってはならぬことなのでございますよ。

 二日目、三日目と電話がかかります。夜の七時でございます、お客さまからの電話であろう筈がございません。すぐさま私が受話器を取ります。妻の膨れた顔など、知ったことか!でございますよ。
「お父さん?元気してる?お母さんは?代わって。」と、もう矢継ぎ早でございます。私と話せることがよ程に嬉しいのか、息せき切って言いますです。私の傍らには妻が来ております。
腹立たしいことには、受話器を引っ手繰るのでございます。それにしても、どうして女どもは長話が好きなのでございますかな。何をそんなに話すことがあるのでございましょうか、まったく。

 四日目のことでございます。娘が、突然帰ってまいりました。そして部屋に閉じこもり、日がな一日泣きじゃくるのでございます。理由を問いただしても、唯々泣きじゃくるばかりでございます。娘の顔を見たいと願う私目ですが、何度声をかけても
「放っといて!」という返事。もう涙がでてまいります。
その点、女は冷たいものでございます。素知らぬ顔をしております。今は何を言っても無駄ですよ、と取り合いません。お友達と喧嘩でもしたのでしょ、と言うのです。しかし不思議なもので、そのように言われますと、そんな気がしてくるのでございます。ところが事はそんな生易しい事態ではございませんでした。娘を追いかけるように顧問の先生が見えたのでございます。

畳に頭をこすり付けての謝罪でございます。申し訳ございません、申し訳ございません、と唯々謝られるだけでございます。娘に傷でも付けたのかと、気が気でなりません。妻ですか?さすがに妻も、顔を曇らせております。いえ、曇らせるどころではありません。見る見る顔が紅潮して、怒鳴りつけるのでございます。
どうやら仲の良い友達と夜の散歩中に、複数の男達に襲われたようでございます。幸いにもご友人がうまく逃げだして、助けを求めたとの事。未遂に終わったとはいえ、そのショックは大きく、失意の中立ち戻ってきたのでございます。しかし妻は、はなから犯されたものと決めつけて、あろうことか娘を非難致します。やれ医者だ、警察に訴える、と大騒ぎして、娘の純真な心を傷つけるのでございます。


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