『ケセナイキズナ《終編:True》』-7
「あぁ……なるほどね」
ここで、僕は。
「ははっ。まるで小説だ」
あの時は、全然気にしなかった。
「あんたは、僕を救う気はないんだな」
ここで、僕は、彼らに会っていた。
そして、あいつは言った。
「『あの子』を救う、か」
桃ちゃんが、まだ青になった信号を渡ったときだった。
僕は全力で走り出す。
トラックが信号無視をするのは知っている。何処に向かうかも知っている。
僕は、ただあの子を救うだけ。
「桃!」
菅原君が、トラックに気付いて声を出す。
でも、僕のほうが早い。
救ってやるさ。
玲奈が無事なら、僕は、それでいいから。