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官能の城
【女性向け 官能小説】

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官能の城(3)-4

ある日のこと、
ジャンヌは王妃の部屋でない別の部屋で
瑞々しい花を花瓶に飾り付けている時のことでした。


彼女は昨日の王妃様の乱れた熱い恋の光景を思い出しては
その白い顔をうっすらとピンク色に染めていたのです。

すると後ろから微かな靴音が聞こえてくるのです、
アンナの靴音とは違うと思いながら、
花瓶の花を飾り付けていると彼女の肩越しから声を掛ける人がいました。


「ジャンヌ、綺麗ですね・・その花」
以外とその声は若い男性の声でした、
思いもよらないことに
ジャンヌはその声の主を眼で追いながら振り返ったのです。


そこには若い騎士がニコニコしながら立っていたのです。
「あっ、フィリップ様」思わずジャンヌは声を出し、
慌てて口に手を当てて恥ずかしそうに俯いていました。

その若い男性はそんな純なジャンヌを見て更に恋心を深めるのです。
ジャンヌが見たその男性は、
リチャード王子の教育係であるマークスの22歳になる長男で、
王子を捜しに城を出たメルシーの兄のフイリップです。

フイリップは、
ジャンヌがクリスの恋人のマーガレット王妃の付き人だということは
勿論知っていました。

しかし彼は弟のメルシーの生真面目な性格に比べ、開放的でしたから
城の中に渦巻く縄張り争いには興味が無く頓着しない若者でした。

その彼が初々しいジャンヌに近づいたのは青年らしい純粋さでしたが、
これから発展するジャンヌとの関係が
リチャード派とクリス派との熾烈な争いの中で翻弄されていく事などは
彼もその恋人になるジャンヌも
その時には知るはずもありませんでした。



(16)

ジャンヌとフィリップの若い二人が結びつくのには、
そんなに時間は掛からなかったようです。

あの日に初めて顔を合わせ会話をし、
お互いの純朴さに惹かれ合った二人はこっそりと逢うことになったのです。

ジャンヌはマーガレットの世話をする時間以外の
僅かな暇を見つけてはフィリップと逢っていましたが、
その時には片言の会話をしたり、キスをする程度でした。


ジャンヌにとっては
フィリップは初めて心から話し合える男性だったのです、
日増しに彼を思い、
そのつのる恋心を抑えることが出来ないジャンヌの乙女心は、
王妃様の秘め事を身体で感じる度に切なくなってくるのです。

フィリップの存在を知ってから、
ジャンヌは王妃とクリスとの睦言を聞いた夜には
いつも心が掻きむしられるような切ない思いになるのです。


そんな時には好きなフィリップに抱かれ、
まだ経験したことがない身体の芯から
彼に突かれたいと言う思いに恋焦がれるのです。


そのフィリップはリチャードを補佐する父の長男として、
父の仕事を手伝っていました。


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