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恋人に捧げる舞子の物語
【SM 官能小説】

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恋人に捧げる舞子の物語(驟雨編)(その2)-5

…いつから、私はMになったのかしら…


あなたが少女の頃、そう…あれは母が再婚した頃だった。

母より七歳も年下の義父となった色白で瓜実顔の輪郭をしたその男が、あなたは嫌いだった。
何よりも再婚した母の肌から漂い始めた淫らな匂いが、不潔だと感じていたのだ。
そして、深夜に聞こえる耳を塞ぎたくなるような母の嬌声、義父の呻き声…そしてあの鞭の音。
あれは確かに母が義父の白い肌に対して振り下ろす鞭の音だった…。あのころ母がどんな性戯を
好んでいたのか…。

あれからもう何年になるだろう…

あなたがまだ恋人に出会う以前、ちょうど会社をやめたときだった。
母が闘病生活を経て病死した頃…あなたに鞭を初めて握らせ、悪夢に誘い込んだのは義父となっ
たあの男だった。
跪いた義父の白い肌に鞭を打つ妖しい快感、彼の首に跨り、太腿で挟んだその首を絞める快感…
その肉情に溢れた義父の身悶えする姿に、あなたは身を焦がすほど体を火照らせ、その淫情の
虜となった時期があったのだ。


…でも…あのころ、私はほんとうにSだったのかしら…


義父が望むまま、彼を縛り、嬲り、嘲り続けた日々…。あなたの前で尻を振りながらあなたの黒
いハイヒールに接吻する義父…縄で緊めあげるほどにドロドロと煮えたぎるその肉棒…あなたの
鞭受け、切なげな喘ぎ声をあげ、苦痛の快感に歪んだ義父の顔…。
ハイヒールの鋭い踵で陰嚢を踏みつけられ、激しく勃起し、包皮を削がれたような義父のペ○ス
…その絶頂の鮮麗な瞬間を、何よりもあなたは自分の性の悦びそのものだと思っていた…。

いや…母と義父の幻影の中で、そう思いこんでいたのかもしれない。あなたは、義父にまるで操
り人形のように、Sの女にされたのだ…。



そしてあの街を離れ、恋人と出会ったときに義父との関係も終わった。
そんなあの頃の影は、今のあなたの中には微塵の欠片も残ってはいない。遠い記憶の中だけに
義父の赤黒く萎えたペ○スは砕けた化石のように散乱しているだけだ。

もしかしたら、恋人はどこかにまだSの匂いのするあなたを楽しんでいたのかもしれない…。
ふと、あなたはそう思うことがあるのだ。
いや、恋人は最初から仮面のようなあなたの顔の生皮を剥ぎ、引き裂き、あなたをMに堕とし込
めることを仕組んでいたのかもしれない…。


…そう、あなたの素顔を見るために…


恋人はあなたの心を網のような蜘蛛の糸で縛ったのだ。
独りよがりの呪縛された性にもがき、その心の渇きにのたうつあなた…そんな蠱惑的なあなたの
姿態こそ、恋人が求めた快楽そのものだったのかもしれない…。

あなたの部屋の窓から見える街を包み込む驟雨…やがてその雫はあなたの陰毛の地肌に沁み入り、
その窪みで澱み始める。

…谷 舞子… いずれあなたは、自分自身の体の疼きを解き放つために、自らを縛り、鞭を打ち、
自虐という魔窟に封じ込められるのだ…。


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