投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

キミに不時着する日
【幼馴染 恋愛小説】

キミに不時着する日の最初へ キミに不時着する日 3 キミに不時着する日 5 キミに不時着する日の最後へ

キミに不時着する日-4

ところで。



私の目の前で、『十六歳、はじめてのチュウ』を枕にうとうとしているこいつ、名前をユキヒコといいます。漢字で書くと幸彦。なんちゅう幸せな名前かと、私がこいつのもっているもので羨ましく思うものの一つです。サクラコ、ユキヒコ、で、なんだか音が似ているのが非常に嫌です。

私は彼を主に『ユキ』とか『ゆっちゃん』とか『ゆうのすけ』とか『ゆきぐにまいたけ』とか呼びます。その他のひとは『アリカワくん』とか『おいアリカワ』とか『ちょっとそこの人』とか呼びます。何が言いたいかってユキの名字はアリカワだっていうことと、基本的にこいつは友達がいないということです。空気が読めない・暗い・キチガイが三点セットで友人いないコースまっしぐら。

なにが悪いかって、それが外見でないことは確かなのだけど。いや前髪は長いけど。黒髪が目をぎりぎり隠すか隠さないかチラ見えが萌え!ってこともないけど。顔は悪くないのだ、顔は。





つか、寝るな。可愛い幼なじみがわざわざ遊びにきてやってるのに、寝るな!





「ちょっと、ユキー」



「んんー……」



「寝ないでよー、もっとほら、慰めるとか、励ますとか」



「んー……」



「窘めるとか、鑑みるとか、訝しがるとか」



「……」



「おーいーユキー。ゆっちゃーん。おーきてよ!ゆーきーぐーにーまーいーたー……」



「それやめないと、刺す」



「(刺される!)」





もぞもぞと起きあがるユキくん。どうやら刺される危機を私は無事に回避したらしい。ほっ。


キミに不時着する日の最初へ キミに不時着する日 3 キミに不時着する日 5 キミに不時着する日の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前