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SFな彼女
【SF 官能小説】

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SFな彼女 -Sweet Face編--9

『あなたの心の中で、あなたが望む女性の姿になってみせましょうか』

そうして俺の目の前で、ユズリハは榊になってみせた。
あの時はまさかと思った。あのくそ生意気な女を抱きたいと思うなんて――
「榊」
俺は榊の髪をくしゃりと撫で上げる。
いちいちびくりと反応する榊が可愛くて思わず俺が笑うと、榊が膨れた。
仏頂面さえ可愛く思える。
(正しかったのはユズリハの方だったのか)
「俺もユズリハに感謝しなきゃだわ」
「あいつがいなかったら、俺は自分の気持ちにもお前の気持ちにも気付くことなんてなかった」
そして、空になったコーヒーの缶を置いて立ち上がった。
「お別れ前に、あいつにありがとうって言わなきゃな」
榊の手を取り立ち上がらせると、二つの空き缶を持って、荷物の置いてある机へ向かう。
プリント類を鞄に詰め込み、榊に上着を手渡した。
小さくありがとうと言って受け取る榊。
あー、何か駄目かも、俺。
こいつの仕草が、いちいち可愛くて。
俺は榊の腕を掴み、自分の元へ引き寄せた。
桜色の唇に、自分のそれを近づける。
目を瞑る榊に軽くキスをした。
「ん……はッ」
軽いキスなんかじゃ足りない。
俺の舌が榊の唇を割って入ると、榊は微かに首を横に振った。
「ダメ……これ以上したら」
「したら、何?」
意地悪く聞く俺に、榊は顔を背けた。
「………」
黙り込む榊に俺は苦笑を浮かべ、それからぽつりと言った。
「……俺ん家、来る?」
その言葉に榊は黙り込んだままこくりと頷いた。


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