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校庭に吹く風
【フェチ/マニア 官能小説】

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校庭に吹く風-3

今日も放課後の校庭には強い風が吹いている。練習の合間にふと遠くを見ると、男子部員が別の先生にビンタをはられている。私もあんなふうに男子に見られてるんだなと思うと、たまらなく恥ずかしくなった。そして恐れていた日が来てしまった。練習を終えて、カレシとファストフードの店に入ったときのことだ。カレシはおもむろに切り出した。「N子、Y先生にずいぶんシゴかれてるんだってな。ケツ、大丈夫か?」。「うん」。私は下を向いて、そう答えるのがやっとだった。顔がみるみる紅潮していくのがわかる。「お前、なんか悪さしたのか? したんだろ」。弁解しようとしたが、恥ずかしくて顔を上げることすらできない。「何2人で深刻な顔してんの?」。その時、R子たちが入ってきた。私は救われたと思った。

 私たちは土日に県外に遠征に行くことがあった。遠い場所だと宿に泊まることもある。そんな夜は、みんなでワイワイやれる絶好の機会だった。でも一つだけ、イヤなことがあった。お風呂だ。しっかりタオルで隠して気をつけていたんだけど、体を洗うとき友達に気づかれてしまった。「N子、お尻真っ赤だよ。またY先生だね? いつやられたの?」「さっき、しょうがないよ。あれだけ集合時間に遅れたんだから」「でも、お湯染みない?」「うん、だいじょうぶ」。染みないはずはなかった。湯船につかるのは怖い。家ではお風呂上がりにはよく、お尻はさらに真っ赤に時には紫色に腫れ上がっていたから。

 何発も叩かれた日には、お尻に跡が残る。そうなると数日間は消えない。座ったり、体を曲げただけでも痛みが走る。授業中もお尻が痛くて何度も座り直したりする。Y先生は化学の先生だ。ある日そんな私の様子を見て、落ち着きがないと注意された。私は少しふてくされてみせた。実験の授業のときには、理科室の教卓の上にいつも1メートル定規がある。私とR子が初めてお尻を叩かれたあの定規だ。幅が広くて厚みがあって、なんて意地悪な定規なんだろう。私は前の席だったので、いつもその定規を目の前にしながら授業を受けていた。今日の放課後にはこの定規がまた私のお尻を捕らえるかもしれない、そんな不安がよぎる。終業のチャイムが鳴った。「N子、何ボーッとしてんの?」「R子、あの定規さあ、先生あんまり使わないよね」。するとR子は言った。「授業中はね」。

 そしてとうとう私のお仕置きは、親にまで知れ渡ることになってしまった。6月のある日、私が学校から帰ると、何やら心配げな母の姿が。「N子ちゃん、ちょっと」「何?」「今日、お友達から聞いたんだけど、あなた、学校でY先生にいつもお尻を叩かれてるんだって? 何があったの?」。私は不意をつかれて驚いた。「お母さんは心配しなくていいよ。うん、ときどき叩かれるけど、思ってたほど痛くなかったよ」。私は努めて素っ気なくそう言うと、二階の自分の部屋に駆け上がった。ドアを閉めると、急に涙がこみ上げてきた。

 夏休みになり、部活の合宿が始まった。思えばここまでよく辛抱したものだ。なぜなんだろう。自分でもわからないけど、どうしても途中で投げ出す気にはなれなかった。合宿も終盤を迎え、その日の夕方、私たちは宿から少し離れた場所でクロスカントリーをしていた。そこで私は、道端の木の枝につまずいて転んでしまった。立ち上がろうとした時だった。「痛っ」。立ち上がれない。まさか骨折? すぐ前を走っていた上級生が気づいてくれた。「N子、立てないか? 無理しないで、いますぐ先生呼んでくる」。上級生は全速力で丘を駆け下りていった。「心配しないで、先生来てくれるから。みんな先に行って」。後ろから走ってきた部員たちに私は言った。すぐにY先生が来てくれた。「心配すんな。N子は俺がおぶって宿まで連れて行く。お前も帰ってろ」。Y先生は道案内してくれた上級生にそう言った。「N子、痛むか? 大丈夫だ。先生の肩につかまれ」。私はY先生の背におぶさった。「N子、お前、軽いなあ。ちゃんと食ってるか?」。なんだかいつものY先生と違う。Y先生の2つの大きな分厚い手のひらが、私のブルマーのお尻を下からしっかり支えてくれている。いつもは怖いあの手が。Y先生は私に、昔よく自分の娘をおぶっていたことや、でもその娘を厳しくしつけたことなどを話してくれた。「俺は小学校卒業するまで娘をおぶったが、いまのN子とあんまり重さ変わんねえなあ」。そう言って面白そうに笑う。宿までの道は遠い。Y先生の肩にしがみつきながら、私はなんだか、あんまり早く宿に着きたくないなと思った。


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