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ジャム・ジャム・ジャム
【SF その他小説】

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レッド・レッド・レッド-10

「エイジ、情報はどォ?」
ダナが言いながら、エイジに麦酒のジョッキをすすめる。
彼はジョッキを呷り、喉を鳴らして冷たい麦酒を飲み込むと、にやけた顔で頷いた。
「ディオニシスの遺跡は此処から南西10キロのところだと」
「それだけ?」
ジャムがチーズを摘みながら首を傾げる。
「ん……まあ、1500Gの情報だしな」
「ケチねェ。今の情報屋なンて5000も払わないと、いいこと教えてくンないわよ」
「仕方ねえだろ、金がないんだから」
むっとして言うエイジ。
「俺としては1500Gで情報も得て美人と話せて得したなー……って」
麦酒を飲みながらエイジはそう口を滑らせると、慌てて口を噤む。
ダナとジャムは半目でエイジを睨んでいた。
「へェ、どこぞの美人に奢ってたってわけェ?」
「どこのどいつに訊いたのよ」
二人の責めに、エイジは参ったといったふうに両手を上げ、ちらりとカウンターに座っている赤毛の女に視線を向けた。
後姿ではその顔も分からないが、足を組み直す仕草が色っぽい女。
ジャムは眉根を寄せて、女を見つめる。
「あの女……」
真っ赤に燃えるような髪。
「もしかして、赤色人?」
「いや、違った」
ジャムの言葉にエイジが首を横に振る。
「肌の色は白かったぜ。顔にイレズミも入れてなかったしな」
そう、とジャムは呟いてもう一度カウンターを見やる。
すると、そこにはもう赤毛の女はいなかった。

「あんたら……ひょっとしてディオニシスの地下遺跡に行くのか?」
不意にかけられた言葉に、三人が一斉に声の方を振り向く。
そこには狼頭の人狼が、厳つい顔を顰めさせていた。
「『若返りの水』を探しに行くんだろ」
「……お前、同業者か?」
警戒した様子でエイジが言うと、人狼は慌てて首を横に振った。
「俺は確かにトレジャーハンターだが、そのお宝を狙ってるわけじゃないんだ。遺跡には用があるっちゃあるんだけど……」
「どういうこと?」
ジャムの言葉に、人狼は険しい顔で言う。
「ディオニシスの地下遺跡ってのは、絶対に攻略出来ねえ迷路なんだ。入り組み、幾つにも分かれた道が続いてるっていう」
そこで人狼はふう、と溜息を漏らした。
「ところが、つい二日前。俺達その遺跡に入っちまったんだ。それで、相棒とはぐれちまって……」
まさか、と三人が顔を見合わせる。
人狼は再び溜息をついた。
「戻って来ないんだよ。無線も何も通じない……かと言って、俺にはひとりで奴を助けに行く度胸もないんだ。そこで」
人狼はばっとジャムの手を取った。
「なあ、お願いだよ、地下遺跡に行くなら俺と一緒に相棒を探してくれ!」
意気込んでそう言ったものの、彼はジャムの手を取ったまま、顔を俯かせる。
そしてぼそりと呟くように言った。
「いや、でもあんな危険なところ、攻略出来ねえって分かって行く筈ないよな……」
「で? お前の相棒とやらはどんな特徴なんだ?」
エイジが言いながら、ジャムと人狼との間に割って入った。
きょとんとする人狼。エイジは言う。
「男か女か、ヒューマンか亜人か。特徴が分からなきゃ、探しようもないだろ」
その言葉に人狼は目を輝かせた。
「行ってくれるのか!?」
「アタシ達にはそこに行かなきゃいけない理由があンのよ」
ダナが言ってから、ジャムを見やる。
「ウチには強力な遺跡攻略人もいるしね」
ありがたい、と人狼は今度はエイジの手を取った。


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