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ずっと二人で
【OL/お姉さん 官能小説】

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これからも二人で-1

「おはよう」
眩しい朝日と共に、愛しい人の顔と見慣れぬ景色が目の前に広がった。
「香織、もう駅行かなきゃ…。」
茂木はホットコーヒーを2つ持ちながら
残念そうに呟く。
熱い夜を過ごした時から、急に呼び捨てにされてもそれはそれで逆に嬉しかった。
「うーん、わかってる。」
特に名前の事には触れず、寝ぼけ眼のままそれを受け取り、スーツに着替えた。

―「おはよう…ヤったの?」
会社に着く早々、友紀が半笑いで聞いてくる。
「なんで?」
「一つ、昨日と服が同じ。二つ、化粧がいつもより薄い。三つ、メスの匂いがする。」
「友紀…2つ目までは理解できるけど、最後は……。」
「女の勘ってことよ。」
ひらひらと手を振りながら友紀は、モデル並の歩き方で可憐に去って行った。

「やっぱキレイなんだよな〜。」
いきなり後ろから発せられた声に驚いて振り返ると、そこには秘書課の西田 美香(にしだみか)がいた。
彼女は香織の驚いた顔を見ると、
「あっ、すいません!つい…。私、葛木さんと矢木さんのファンなんです。」
少し頬を赤らめながら、かわいらしく喋り出した。
「私、第32期に入ったんですけど…葛木さんと矢木さんが入社式の時に、受け付けしてらして。おキレイだなー、私もあんな風になるっ!って思ったんですよ〜。」
褒められてその上、ファンだなんて言われたら嫌な気持ちになる人間なんていない。
「ありがとう。」
飛びっきりの笑顔で応えた。
「あの、良ければ今度一緒に飲みに行きません?お酒大好きなんです。」
照れ笑いしながら由美が言う。
私が男ならイチコロだろうなーなんて考えながら…
「そうだねー。じゃあ友紀も誘ってみるわね。西田さんまた連絡するわ。」
可愛い後輩のため気を効かせる私、100点!
「本当ですか?絶対ですよ!では。」
そういうと美香はニコッと笑って一礼すると、すぐに去って行った。


「と、言う訳で。お願い!」
私は西田さんとの朝のやり取りを伝えるため、友紀と社員食堂でランチしていた。
「わかった。それよりも茂木君…どうだった?」
唐揚げをも上品に食べながら友紀が問う。
「どうもこうも…特に何も無いわよ。」
「ふ〜ん。でも良かったわね、やっと男ができて。」
「……あ!」
私は気付いてしまった。
確かに昨夜は雰囲気もあってか、何度も何度も愛しあった。それに、茂木だって大切に思ってると言ってくれた。しかし……
「まだ……付き合おうって言われてない。」
驚いた顔をしながら友紀は、香織の肩に手を置いた。
「あんたね〜中学生じゃないんだから。体の関係までいったなら恥ずかしがってないで、自分から言えばいいじゃない。」
「でも……。」
ハァーとわざとらしくため息をつきながら、友紀が言う。
「でもは無し!急に意識しだしたから、そんなに弱気なんでしょ?茂木君はそんな言葉は関係無しで、もう付き合ってる気だと思うけど。わざわざ男女の関係に言葉なんていらないの!わかった?」
「そうなのかなあ?」
「そうなの。お昼終わるわよ。早く食べなさいよ。」
「うん……。」
私だってもう良い年だ。
一夜の関係というものが全く無かった訳でもないし、付き合おうという言葉がいちいち要るとも思わない。
しかし、茂木とは曖昧にしたくないと思うようになっていた。
仕事が恋人……そんな考えは、はるか遠くへ行ってしまっていた。


それでも仕事とプライベートとは分けたいという気持ちから、いつも通り仕事はテキパキこなした。
いつもなら必要以上に絡んでくる茂木は、今日は外回りで直帰だ。
「こういう時に限って……。」
小さく愚痴を零しながら、友紀を誘ってエレベーターに乗り込む。
もうマフラーが欲しくなるぐらい、エントランスは冷えていた。


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