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1・2・3
【初恋 恋愛小説】

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3・2・1-3

三、
そうだ、俺はあの頃のガキのまま…
ー六年前
小四年の時、俺達はまだ一緒に登下校したり遊んだりしていた。そんな中、クラスの中で告白だとか、付き合うだとか、妙なものがはやりだした。俺は友達からリコとのことをからかわれ、‘翔チャン’と呼ばれてることも照れくさく感じていた。それなのにあいつは告白してきて、いや、嬉しかったし、もちろん俺だってリコとのことを好きだった。ただ恥ずかしくて、照れくさくて、あいつの告白をはねつけてしまった…
それからは気まずくて話してない…
あの時の事をずっと後悔してる俺は、リコに告白しようと思って同じ高校を受験した…それなのに今だに会話すらまともに出来ないでいる…

あれから、リコが男と会っていたあの日から十日が過ぎた。
俺の中で焦りだけが募り、リコを見つめる時間だけが増えていく…
そんな昼休み、最近調子の悪い携帯をいじっていた。
「えーーっ翔、お前まだ携帯変えてねーの!?それ、マジありえねーし」
「だよな〜…」
「カメラついてないなんていつの時代のだよ!!」
「やっぱカメラ必要だよな〜…」
リコを撮りたいな…
俺、チラリとリコを見た。リコは相変わらずかわいい笑顔で笑っている。
きゅん―
…だめだ…あいつの笑顔だけで俺は死んでしまう…やっぱ携帯変えよう…で、リコの笑顔を…
その日の帰りさっそく店に行き、機種変更した。迷った結果、画像がきれいな機種を選んだ。
ついでにメルアドを変えた。
俺にしてはかなり大胆で…リコのイニシャルとリコの誕生日を入れたのだ。
「翔、メアド変えた?昨日送れなくて」
次の日、朝からわめきながら佐伯が俺の腕を掴んだ。
「ああ」
俺、面倒だから携帯のプロフィール画面を開いて佐伯に渡した。
「あっ、翔、機種変わってる。画像めっちゃきれい」
「いいから早く登録しろ」
「あ〜ごめんごめん」
…そういえばリコ、携帯持ってねーよな…
その日の帰り、携帯ショップで悩むリコの姿を見つけた。手にはそれぞれ携帯を持ってて、右手に持ってる携帯は俺のと同じ機種だった…
「こっちの方が画像がきれい」
こっちにしろ!!
俺、リコから携帯を取り上げた。
「こっちの方が色も何種があるし、俺もこれに変えてるし…」
「え?」
うわっ、何言ってんだ…
「い、いや、…じゃあな」
きょとんとて俺を見るリコに携帯を戻し、店を出た。
恥ずかしい…何言ってんだよ〜…
けどあいつ、なんで急に携帯なんか…
俺の頭にあの男の顔が浮かんだ。
…あいつのためか?…まさかな…
次の日、帰りの電車の中でリコと一緒になった。リコは俺には気づかず、ずっと携帯をいじっている。その姿に俺はちょっと苛立った。あの男のために一生懸命になってるのかと、そう思うといても立ってもいられず、俺はリコから携帯を取り上げた。
「設定?貸せよやってやる」
あんな男のどこがいいんだよ!!
「アドレスは?」
「え?」
「メール、メールアドレスなんにする?」
あんな男にもってかれるのなんて耐えられねー!!
「…勝手に登録しとくから…」
「うん、なんでもいいよ」
本当にあいつのために買ったのか?
…リコ…
ricoricorco.
そこまで打って俺は手を止めた。
「…何で…急に携帯買ったの?」
聞かずにはいられない。
「え?お父さんが、お客さんで、私と同じ年の子が男の人に連れ去られて、母親にメールして助かったって、その話聞いてきて」
え?…あいつのためじゃねーの…
…本当に…なんだよ〜…ん?
「え?おじさんの店で聴いたってことは近くで起こったんだろ?気をつけろよ」
「私?」
なんだよおじさん、タイミングよすぎて焦ったぜマジ…
「夜だと顔見えないし、制服来てたら誰でもかわいく見えるんだよ」
ほっとして、ちょっとリコをからかった。
思ってたとおり、リコはうつむいて下唇を噛んでいる。
かわいい…
s105…
アドレスの続きに俺のイニシャルと俺の誕生日を入れた。
「うそだよ」
かわいいって…しかし、こんなんじゃ気づかねーよな…
俺、わざとアドレスを映し出したままリコに携帯を戻した。……


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