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1・2・3
【初恋 恋愛小説】

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3・2・1-2

二、
ー土曜日
朝から俺は落ち着かず、本屋行ったりゲーセン行ったりした。だけど、何をしていてもリコが合コンを楽しんでる映像が頭に浮かんだ。
あ゛〜まじ疲れたー!!
やっと夕方になり俺は家にたどり着いた。
あっ!?あれっ!?
足を止めた俺の目にリコの姿が映った。
リコ??
俺、リコを何度も見直した。
間違いない。リコは俺の家の前に立ち、門に手を掛けようとしている。
お、おい!!
いやっ心の中でつっこんでる場合じゃない…
俺、おそるおそるリコに近寄る。
あいつ…ぼーっとして……はっ、まさか、もう男が出来たとか!?いや、まさかな…
「お前ん家、隣だろ」
「あっ、ほんとだ」
リコ、表札を見ながら言う。
こいつまじ大丈夫か??
「彼氏でもできた」
うおっ!!何聞いてんだ俺っっ
「え!?」
あっ、い、いや…
「ぼーとしてるから、合コン…だったんだろ、今日…」
「うん、あっいや、ううん、合コンだったけど」
やっぱり行ったのか!?
「彼氏なんて…やっぱり、ああいう場所は苦手…ていうか…」
だよなー
………ほんとか?
「そ、そう、どうでもいいけど」
よくねーよ!!
「どいてくんない?入れないから」
お前、電話番号とか聞かれなかったか??本当に、本当に何もなかったのか??…き…聞けない…
俺は後ろに視線を感じながら、どうしても振り向くことが出来なかった。
ー次の日
携帯の着信で目が覚めた。
「…もしもし…」
俺、表示も見ずに携帯を耳に押し当てる。
「翔、おはよ」
佐伯の陽気な声が聞こえてきた。
…うるせー
俺、目を閉じたまま電話を切った。
直後、再度着信。
ったく…
「…何?」
俺、起きあがった。時計を見ると、もう十一時を過ぎていた。
「翔の家から中央公園って近かったよね?」
「ああ」
「犬を散歩させてたら逃げちゃってさ、お願い一緒に探してくんない?」
ええー面倒くせー
「犬なら自分で帰って来るだろ」
「だめよ、今日初めて外出してさ、ね、お願い翔!!」
あ゛〜〜〜たりー
そう思ったものの何もする事のない一日だと気が付いたので、行ってみることにした。
「もう!!翔、遅い!!」
俺が中央公園に着いたのはあれから一時間経っていた。
佐伯の犬はコーギーとかいう種類で、二週間前に買ったらしいが、俺はコーギーとか言われてもどんな犬なのかさっぱり分からない。
中央公園は、自転車で十分ぐらい。中央に大きな池があって、その池を囲むように木木が生い茂りその中を道がつながっている。池の中央に向こう側に渡る大きな橋がある。入り口は二カ所で北と南、南口から続く桜並木…
リコは覚えてるかな?
俺、緑の葉だらけの桜を見上げた。
小さい頃、冬の寒い日にあいつとここへ来たことがある。その頃の俺達にはちょっとした冒険で、俺の手を強く握るリコが可愛くて俺は誇らしく思えた。だけど、帰り道に迷ってしまい、結局二人で泣きながら親が探し出してくれるのを待っていたのだ。
…かっこわりー…やっぱ、覚えてなくていいや…
「ちょっと翔!!真剣に探してよね!!」
突然、佐伯の声がギンギン響いた。
ったく、うるせー女…
「はいはい」
俺、適当に返すと林の中に入った。
「どうしよう…このまま見つからなかったら…」
「は?犬なんだから自分で帰って来るだろ?ってか、もう帰ってんじゃない?」
「だから、今日初めて外に出したんだって!!」
怒ったように言う佐伯。
マジ、どうでもいい…
「…なんて名前だったけ?」
俺、これを聞くのは三度目。
「アルファー!!」
ーきゃんっ
怒ったように叫んだ佐伯の声に、桜並木の方から答えが返ってきた。
「アルファーよ翔!!」
俺、駆けだした佐伯の後をだらだら追う。
桜並木に出た俺、体が固まった。
南口の外にリコがいたから…俺の知らない男と…
俺、頭が真っ白になった。この光景を受け入れることが出来ない。
…誰だ?
「もう、アルファー」
固まってる俺の横で佐伯がアルファーを追っかけている。アルファーは佐伯から逃れ、俺の足元をスルリと抜けた。佐伯、アルファーを捕まえようと俺の方へ駆け寄った、瞬間。
「きゃっ」
何かにつまづき、俺の腕にもたれ掛かった。
!!…え?
その時、リコと…目が…合った…?…
俺、他の男といるリコを見るに耐えず、佐伯の手を荒々しく払いのけ、リコに背を向けると少し先で俺達を見つめているアルファーを抱き上げると、佐伯に押しつけた。
なんだよあれ、リコは俺が好きなんだろ!?(小四ん時だけど…)…あんな男がいいのか?あんな貧弱男が!?あいつはうちの学校じゃない、じゃあどこで……あっ…コンパ!!
昨日のリコの姿が蘇る…ぼーとして…何もないと言ったリコ…
コンパなんか行かせるんじゃなかった。
……‘行かせるんじゃなかった’…って…俺、話しかけることすら出来ないのに…
自分が情けなさすぎて、ぷっ、と吹き出してしまった。
…俺、リコが俺を好きだって言った言葉にすがってるだけで…リコがあの時の、小四時のままの気持ちでいる気でいた…いや…本当は怖いから、だから声かけらんねーんだ…俺は、あの時のガキのままだ…


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