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1・2・3
【初恋 恋愛小説】

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1・2・3-8



その夜、私は、翔ちゃんにメールを打った。
『今日は助かりました。本当にありがとう。』
たったこれだけの文章なのに決まるまで一時間もかかった。
いいのかな?いいのかな?…でも、お礼も言ってないし…そうだよ、お礼を言うだけだし…いいよね!!
私、思い切って送信ボタンを押した。―送信中―そんな文字が画面に映り、私は食い入るように画面を見つめる。画面の文字が―送信完了―になっても私の目は画面から離れることはなかった。
…送れたの?…いいの?これで…
私…私、翔ちゃんの、友達ぐらいにはなれるかな?…
その夜は、一睡も出来なかった…次の日が土曜日で、学校が休みで助かった。
私の興奮は次の日も続いてた。
えーーっっ、もう朝なの?
私、ベットから起き上がると携帯を開いて、自分が送信したメールを見つめた。
返事…こなかったな〜
…いや!!当たり前じゃない、何考えてるの!?
私、気を大きくしすぎ…
今日は、梅雨の中休みで、太陽が出てる。
この時期美容院は忙しい。ジューンブライド…私も結婚式は六月にしようと思っている。そんな事で、お父さんもお母さんも朝から仕事だ。私は、午前中、お母さんから頼まれてた片づけやら掃除におわれ、午後になり、それでも私の興奮は治まらない…
なんか…じっとしてられない…
そうだ…夏になるし服でも見に行こう。デパートがあるのは電車に乗って二つ先、その二つ先が学校がある駅。だから、定期で行ける。
私、携帯をジャケットのポケットに入れた。
来ないけど、もしかしたら…いや、来るわけ無いけど、もしかしたら、翔ちゃんから返事が来るかもだし…いや、そんなわけないよね…
って思いつつ、ポケットの上から携帯を握った。
電車に乗るため、家を出て駅へ向かった。駅は歩いて十五分。その道のりを五分ほど歩いたとき…
あっ、雨…
まだ小降りだけど…う〜…傘取ってこよう。
私、今来た道を小走りで戻った。
私と翔ちゃんの家が並んでる道に曲がった瞬間、私、思わず身を隠した…
え…見間違い?
もう一度、ゆっくりのぞいた…
間違いない…翔ちゃんの家の前に涼子ちゃんがいる…
………
涼子ちゃんは翔ちゃんに招かれて翔ちゃんの家に入っていった。
……私…ばかみたい…メールなんか…返って来るわけない……ううん……出さなきゃ良かった。あんなメール……
ポケットに手を入れ携帯を握った。
私、傘の事も忘れ、ただ家に背を向け歩きだした。
本当にばかだ…私…浮かれて…翔ちゃんが好きな人は涼子ちゃんで…なのに…ちょっと優しくされたら舞い上がって…メールなんかうって…
気がつくと私は中央公園の南口に立っていた。
私、時計台の横にあるベンチに腰を降ろす。
前にここへ来たときは市川君がいた。初めて男の子と恋愛の話をして、同じ気持ちだなって思った。
そんな事思ってると、私、携帯を取り出し、電話かけてた…
「はーい、市川でーす」
っ!!え!?私…
「あっ、あの、小西です!!」
何やってんだろう…
「え!?小西さん?携帯買ったの?」
「そう!!…だから…市川君に…教えなきゃ…って…」
市川君なら私の気持ちを分かってくれる様な気がした。同じ立場にいるような……ううん…違う…市川君は、サヤカちゃんと両想いだ…私とは違う…違う…
「…ごめんね…いきなり…それだけだから……」
「小西さん…今どこ?」
「え…中央公園……どうして?」
「泣いてる?」
!!
「…っちが……」
だめ、声が出ない…
「すぐ行くからっっ」
サヤカちゃんごめん、サヤカちゃんごめん。
ツーツーッ、その音を聞きながら私は心の中でずっとサヤカちゃんに謝ってた。


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