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「B×バレンタイン」
【純愛 恋愛小説】

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「B×バレンタイン」-3

木村和良宅。
「いってきま〜す」いつも以上にだるそうな声で家を出る。「もう、遅刻でしょ、急ぎなさいよ!」おかんの声がする。
「はいはい」
今日は、ワザとゆっくりなんだっつーの。なんとなく、優花には会いたくない。…おもちゃ取り上げられたガキみたいだ。情けない…
また、朝から溜息をついて駅に向かった。

駅のホームに電車が入ってくる。駆け足がして、列の最後に並んでた俺と同時に飛び込んできた女がいた。
…優花だよ。何やってんだこいつは。
「おい」
「えっ?あぁ、おはよう」
「珍しいじゃん、遅刻なんて」
「はぁっ…違っ………まだ、遅刻じゃないもん」肩で息をしながら答える。
「今日、ちょっと寝坊しちゃって…」
「ふ〜ん」その割には、髪型、気合いが入ってね?誤魔化されたことが気になって、そっけなくなる。
「?どうしたの?いつもの悪意がない………」
いつもみたいにふざけあう気にも、いまいちなれない。
「寝不足で眠いんだよ、駅着いたら起こして…」
「あ、うん…」
俺はすぐ寝たフリをした。だから、気づかなかったんだ。優花がうつむいていたのを。

「駅、着いたよ」
「あぁ、サンキュ」ぼーっとした頭で降りた。お、孝がいる。
「俺、孝に用事あるんだ。わりぃ、先行くな」
「わかった。またね〜」
優花はいつもどうり、笑って手を振ってた。
「孝」
「おう。っておい。優花ちゃん、置いて来ちゃっていいのか?こっちよべば「いいんだよ」」孝を遮って止めた。
「優花もその方が都合いいんだよ。今日は…だろ?」


和と歩きながら、つくづく思う。こいつ、自分の事も優花ちゃんのことも、わかってねぇよなぁ。「無理、してんじゃないの?」
「はぁ?誰が、何をだよ」
「だから、和がっ、優花ちゃんのこと」
「無い」
「ふ〜ん」
「無いんだよ。俺は女の子にしか興味がない」
それはちょっとひどいんじゃ…ムキになってるよなぁ。「優花ちゃん、かわいいけどなぁ」
「わかった。彼女に言いつけとく」
「待てって。…ゆってたのは俺じゃないし。結構、モテるんだよ。本人、あんま男としゃべんないから、気づいてないけど」
「本性知らねぇからだろ。…もういいって」
そうこうしてるうちに、教室に着いた。

授業中。
そうだよなぁ……普通に、優花に告られたら、うれしいだろうな。でも……俺はありえない。
正直、優花はかわいい。時々、ほかの奴に向けてる笑顔が気に入らないこともある。
だけど、俺は認めない。俺は今の関係が好きだし……この先を望めば、俺は絶対優花を傷つける。多分、止められる気持ちじゃない。
………でも、優花に彼氏ができたら、認めようが認めまいが、どっちみち同じだな…



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