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桜の木の下で
【学園物 官能小説】

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桜の木の下で-9

長野先生はあたしにとって、ただの先生じゃない。小・中・高通して唯一信用できる、と思えた先生なのだ。
「なに、先生?まだ結婚してないの?あたし達学年変わるとき送った縁結びの御守りきかなかったの?」
「あ〜!そうかそうか、島川さんの代ってその代だね!いや、実はあれまだ持っててね。通勤用のバッグに付けてるんだけどなかなかねぇ……。」
会えてすっごく嬉しいのに、ついつい叩いてしまう憎まれ口。なのに、先生はそれに大真面目に答えてくれる。
しかも、あたしの担任だった時から7年近く経っているのに、あたし達がプレゼントした御守りをちゃんと持っている……それも嬉しかった。
懐かしい、もっと話したい。そんな想いがあたしを動かした。
「ねぇ先生、ここで話すのもなんだから、どっか入らない?」
「おぅ、もちろんいいよ。」
「やった!あたしおごるよっ!」
「えぇ?冗談、教え子におごらす訳にはいかないよ。」
あ……そうだった。
懐が温かかったからつい出てしまった言葉。でも、よく考えれば長野先生はあたしより10以上年上だった。
もっと言えば、一般の女子高生は自分にお金をかけるのに精一杯で、人におごれる程お金を持ってるはずがない。
気をつけなきゃ……あたしが汚れてるってことがバレてしまう。それは、嫌だ。
「ごめんっ、先生!あたし調子乗っちゃった!」
あたしは顔を作って先生に笑いかける。
「そっか?」
先生もちょっと不思議そうな顔をしたけど笑顔で応えてくれた。
あたしは、サチと良く行くカフェを指差して先生に提案する。
「あそこに美味しいパフェが食べられるカフェがあるんだよ〜!」
「ん、じゃあそこにしよう。」
「決まり〜☆」
男の人と接していてこんなに楽しい気分になるのは久しぶり。お金をたくさん持ってお店を巡るのとはまた違ったウキウキ感だ。



「……そうそう、鈴木君があの時体操服忘れたんだよね〜。」
「ビックリしたよ、運動会当日にビシッと基準服で来るんだから……」
……あたしと先生は、いろいろな話題で盛り上がった。小学校時代の思い出、親とのこと、今の学校のこと……後半はあたしの愚痴ばかりだったけど、先生はあたしの言うこと一つ一つを真剣に聞いて、頷いたり、ちょっと意見を言ったりしてくれた。
「まぁでも、そうだな〜。やっぱ何もかも楽しくなくなる時って絶対あるよ。だからそこで腐らずに、うまく凌いでいかんとね。て、もうこんな時間か。随分話したね。」
「わっ、もう6時!?3時間もパフェだけで過ごしちゃった!」
「じゃあ、そろそろ解散にしますか。」
「うん……あ、待って!長野先生メアド教えてよ!またお話したい!」
冗談ぽく言ってみたけど、実はかなり緊張……元担任とは言え男の人にメアド聞くのは三年ぶりだった。お願い……
「メアド?あぁ、いいよ。じゃあ赤外線で……」
良かった!あっさりOK!



「それじゃ、また。」
別れ際、先生が手を差し出す。
「うんっ!」
あたしはその手をしっかり握ってさよならをした。


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