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桜の木の下で
【学園物 官能小説】

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桜の木の下で-8

そこから先は覚えていない。いつの間にか寝てたみたい。
起きたら既に朝の10時を回っていた。
「ん〜……何とか寝れた……って、あたし素っ裸じゃん!」
慌てて服を着て、下に降りる。
家には誰もいなかった。まぁ、共働きで忙しい両親が、家にいることの方が珍しいんだけど……
今日は何しよう……日村に貰ったお金でなんか買おうかな。
サチは今日は用事があるって言ってたし、一緒に遊べる友達はあんまりいないし、今日はひとりかな……。



なんか今日はそれが無性に寂しい。昨日いろいろありすぎたかな……
でもまぁ、考えても仕方ない!さ、今日はどんな服着ていこうかな?



<5.偶然の再会>
10万あったら何が買えるかな……そんなことを考えながら地下鉄に乗り込んだ。
街の中心地、いつもの買い物スポット。
あたしにとっては庭みたいなもの。お気に入りの店をプラプラしながら、歩いていると、だんだんウキウキした気分になってきた。
え、なんでかって?
あたしのお気に入りの店はもちろんグッチやエルメスなんかじゃない。おしゃれ目だけど高くないお店には、10万で買えないものなんてない……何でも好きなものを買えるのだ。
「う〜ん、何買おっかな〜迷う〜」
ニヤけながら独り言を言いながら歩く。
端から見たらかなりキモい女で、かなり声をかけたくない感じだろう。
ま、今日はひとりで買い物をしたいからいいや!
自分にそんなことを言い聞かせながら、更にお店を回っていく。



「あれ?お〜い、島川さんじゃないか?」
ん?聞き慣れない声があたしの名字を呼んだ気がする。てか「さん」付けであたし呼ぶ人なんかあたしの知り合いにいたっけか?
誰だろう?でも、振り向いて人違いだったらヤだな……無視しとこ……
「うん、やっぱりそうだ。お〜い、島川さん!君、島川美樹さんだろ?」
あ、やっぱあたしか。……誰?
あたしが振り向くと、ニコニコしている男の人がいた。
……あれ、誰だっけこの人……絶対見覚えあるし、何かすっごく懐かしい気がする……
お兄さんとも、おじさんとも言えない微妙な感じの顔立ち……顔をじっと見ながらあたしの記憶をゆっくり辿る……
「ん、忘れちゃったかな?」
あっ!!今の声であたしの記憶の糸が繋がった。
「長野先生っ!?」
小学校4年時の担任、長野壮太こと「長やん」だ。
「おっ、思い出したか!島川さん久しぶり!卒業以来だねぇ。」
「本当久しぶり!!何でこんなとこいんの?」
あたしは小学校の時、隣の市に住んでいた。中学進学と同時にこっちに引っ越して来たから、こっちで小学校の知り合いに会うことはまずない。
この5年近くで、微妙な同級生にたまたま会ったことが1、2回あるくらいだ。
「いや〜実は今回の異動で遠くに飛ばされねぇ。ほら、先生独身だから飛ばしやすいんだよね。」
鼻の頭をかく照れ隠しの癖も変わっていない。自分が高2、なんてことは今はすっかり忘れて、小学生の時に戻った気分だ。
他の小学校の先生に会っていても、こんな気分にはなれなかっただろう。


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