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桜の木の下で
【学園物 官能小説】

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桜の木の下で-11

あたしが話してる間、サチは何も言わずにただ頷きながら聞いてくれた。
あたしが最後まで話し終わると、
「なるほどねぇ……」
と、深くため息をついてサチがあたしをまっすぐに見つめ、話し始めた。
「いい、美樹?あたしは美樹のこと全部分かってるわけじゃないから、今からあたしが言うことが正しいかは分かんないよ。」
「うん……」
「あたしが考えるに、美樹が今日精液を飲めなかったのには、3つ理由がある。」
サチは指を三本、ぴっと伸ばして見せる。
サチと普段こんなに大真面目に話さないからなんだか可笑しくて、あたしはちょっとにやけた顔になってしまう。
「こら、そこっ!笑っちゃダメっ!」
あたしにデコピンをする真似をしながらサチも笑顔になる。真面目な話なのに、こんなにリラックスできる、やっぱサチといると幸せだ。
「本題に入るよ!」
サチが威勢良く話し出す。
「うんっ。」
「まず一つ目。これが一番可能性高いと思うけど、まだお金が沢山あるのにバイトしようとしたから、美樹にとってお金が『薬』にならなかった。」
「うんうん……なるほど……」
「二つ目。一つ目にちょっと似てるけど、十万という大金をいっぺんに手にしてみて、小さいお金のためにフェラーリすんのが馬鹿馬鹿しくなった。」
「はぁ……なるほどねぇ……」
ちょっと一息おいてサチが続ける。
「三つ目。美樹に恋人ないし好きな人ができて他人を受け入れられなくなった。」
「はぁはぁ……って、えぇっ!?」
「あくまで予想よ?それとも心当たりがある?」
「いや……その……」
「まさかあたしっ?ダメよ、あたしその気はないからね!」
サチは冗談ぽく胸を隠してみせる。
「ち、違うよぅ。」
「あはは、だよね。意志の固いあんたが珍しいよね……」



<7.小さな疑問>
街からの帰り道。地下鉄に揺られながらあたしはサチが言っていたことを反芻していた。
「どうしたんだろう、あたし……」
あたしはもしかしたらもう「バイト」で精液を飲み下すことができなくなっているのかもしれない……自分のポリシーが崩れてしまう……どうしよう……そうだっ!
あたしは、ふと思い立ってケータイを取り出し、メールを打ち始めた。
『こないだはパフェごちそうさまでした。教えて欲しいことがあるんですけどいいですか?』
相手は長野先生だ。長野先生に聞けば、この不安がもしかしたら和らぐかもしれない。
二分くらいしてケータイが震えた。
『いえいえ!久しぶりに島川さんに会えて楽しかったよ。聞きたいことって何だい?』
うーん、どうしよう。メールでも済む用事だけど……せっかくなら顔見て話したい……。
『えっと、ちょっとメールで説明するのが難しいので、会って話したいんですけど、ダメですか?』
勇気を込めて送信ボタンを押す。返信はすぐに来た。
『OK!平日は遅くなるので週末でもいいかな?』
そうだよね……夜出歩いてもバレないうちと生活時間があうわけがない。
『はい、大丈夫です。土曜日でいいですか?時間、場所はどこでもいいので先生決めて下さい。』
本当はすぐにでも会って話したかったけど、会うのが遅くなるのと、顔を見ずメールですぐに話すのと、2つを天秤にかけたら、遅くても顔を見て話したい、そう思った。
電車があたしの家の最寄り駅に到着するころ、最後のメールが届く。
『じゃあ、こないだ話したカフェの前に土曜日、13時でどうかな?』
『わかりました!ありがとうございます☆』
短く返信して駅を出た。胸が少しドキドキしている。
あたしが持ち始めた小さな疑問、長野先生なら解決してくれるかもしれない。来週までちょっと眠れない日が続きそうだ。


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