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Poor Crown〜Beside the Bridge〜
【自伝 その他小説】

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Poor Crown〜Beside the Bridge〜-3

5/26(木)
高架下を、涼やかな風が流れていた。俺はペットボトルの水をぐぃ、とあおり、ぷは、と息を吐いた。
――何で怒っていたんだろう?
今日の面接官は何故か終始ご立腹だった。
あなたの今の発言は先ほどのものと矛盾しますよ。
どうしてそうお考えになるのですか。
それはどういう意味ですか。
――私の話を聞いてましたか。
僕は内心、そう質問で返した。
彼らからは、学生はどういう存在に見えているのだろうか。
今日の面接官だけではない。何だか見下されているような印象を多々受ける。勿論、そんな人ばかりでは、ないのだけれど。
先入観、第一印象。
それは、対になるようで、実は同一だったりする…気がする。先入観に囚われていれば、第一印象にはそれが投影される。結果、外部からの情報は色眼鏡のレンズで屈折させられ、否応なしに先入観が作り出した虚像を結ぶ。
しかし、本来はそれを払拭するだけのパフォーマンスが必要なのだけれど。
…あれ?
何だ、結局自分が悪いんじゃないか。
そこまで考えて納得してしまう。
腕を組み、小さく頷くと同時に川辺の風が伸びた前髪を翻弄した。
伸びた、前髪。
そうか、第一印象の段階でダメじゃないか。あれ、第一印象?第一印象は先入観で、…ってよくわからなくなってきた。
あんた絶対後悔するで。マツモトのときみたいに。私は絶対嫌やねん。気持ち悪いから。金の話はせんといて。
――こっちのセリフだ。
近くを通り過ぎた、携帯電話に向かって大声で怒鳴り散らす中年の女性の声が耳をつんざき、俺は思わず心の中でそう叫んだ。


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