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Unknown Sick
【悲恋 恋愛小説】

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Unknown Sick-82

 真っ白になった彼を見たとき、私は吐き気がした。目の前の現実が、信じられなくて、認めたくなくて。彼がこんなにも細くて、もう顔がわからない。骨……だけ。

 私とお姉さん、そして雅也さんとで骨を骨壷にゆっくりと移しました。

 その骨は、驚くほど軽かった。彼だったものは徐々に小さな骨壷に納まりました。

 でも、もう我慢の限界。

「どうして……? まーちゃん!」

「藤堂……」

みっともなく彼に……彼だったものに叫ぶ。

「これから一緒に暮らそうとも思ってたのに……どうして?」

「藤堂、落ち着け。俺とまー姉だって辛いんだ」

「ねぇ、まーちゃん!」

 その時、耳元で誰かがそっと呟きました。それは懐かしい声、私が大好きな声。私を後ろから抱きしめて、ゆっくりと、呟きました。それは幻、わかっています。でも、違う。幻というもので定義されているのですが、違うんです。

『俺のこと、忘れないでくれ……そして』

 まーちゃん……お願い、もう一度だけ、教えて……。



 俺は幸せだった。ありがとう、恵。



 ぽろぽろと、枯れたと思っていた涙が再び溢れ出す。

まーちゃん。最後に、やっと名前で呼んでくれたんだ……。私も幸せでした。まーちゃんと一緒に居られて、とっても……幸せでした。

「どうした?」

 お姉さんが心配になったのか声をかけてくれた。

「大丈夫です……まーちゃんが教えてくれたんです、最後に」

「そう……か」とても綺麗なお姉さんの笑顔。

「で、何て言ったんだよ?」雅也さんの陽気な笑顔。

「秘密です」

 涙はまだまだ流れるけど、大丈夫です。私は、あなたのことを想って、生き続けるから。











 あれから数年。彼が亡くなってからはあっという間に月日が流れた気がする。とても退屈な毎日で、いつもみたいにチャイムを鳴らせば、彼が出てきそうな気がします。

 でも、もうそれも終わり。

 私は、今年から教師として働くことになった。私が働く高校の話をしたら、雅也さんがそこは二人の母校だって、笑って話してくれた。なんだか嬉しくて、私も一緒になって笑いました。



 今日で、彼と共に過ごした場所ともお別れ。だからお墓参りに来た。お姉さん、雅也さんは休みを取ってくれて、私を見送ってくれるらしい。


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