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春雨
【純愛 恋愛小説】

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Rainy day vol,2-6

「…春美。
高校生?」
「お姉さんはOL?」
「えぇ…もう21。」
答えて自分の歳を実感し、苦笑いしてしまった。誕生日は4月だから…20でも21でも変わらない。

「服が乾いたら送ってあげるわ。
家に連絡入れなくて平気?」
「どうせ誰も居ないから」
……待ってる人が居るくせに…。
反抗したい年頃なのかしら…?
そういえば、比嘉の夫人も『今、ヤンチャしてる』…って言ってたっけ。


「…なら平気ね」
私はそう言ってゆっくりとティーカップを口に運んだ。

私の反応に彼の表情が心なしか緩んだ気がした。
そして、またすぐ複雑な表情に戻り、
「…何で人は群れたがるのかな…」
と、呟いた。
「弱いからでしょ。」
と、求めているであろう答えを代わりに出してやる。

「でも、そんな人間達でも相手しないとね…。
私達は決して一人では生きていけないし、自分にも弱いところはあるんだから・・」
私が窓の外に視線を遣ると霧が出ていた。
まるで霧の都…ロンドンのように・・。


「…自分の弱いところ…」
「まずは自分の弱いところを認めなさい。
そうすれば少しは変わるわよ。
ま、私の内面は変わらなかったけど…。」
私の言葉に彼は思わず吹き出した。
「…それじゃダメじゃん」

「ダメだったものは仕方ないでしょ。
ま、表面的には変わったから良いのよ。」
「…上辺だけってコト?」
「…そうとも言うわね」

しばらく自由な外国暮らしだったが…日本人の気質は抜けない…。
ま、抜けても後が大変だけど…。

「仕事何してるの?」
彼の口からそんな言葉が出た事に普通に驚いた。
「…公務員よ」
「公務員なのに転勤?」
「色々事情があってね」
てっきり、私のキツい言葉に怒るか拗ねるかするかと思ったが、どうやらそこまで子供ではないらしい。


「…目が変わってきたわね」

急だったから私が何を言っているのか分からなかったのだろう、首を傾げるので、
「…さっきまでの目は死んでたわ」と補足した。


「・・・また、来ていい?」

その質問に普通に驚いた。

「来月までの月・水・金19時以降なら」と、言って微笑んだ。

少しは心を許してくれたって事かしら?



続く


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