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春雨
【純愛 恋愛小説】

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Rainy day vol,2-4

『比嘉 将生(ヒガ マサキ)
19××年×月×日生・17歳(私立〇〇高等学校2年)
比嘉電機社長子息
     ・
     ・
     ・     』

・・胸の鼓動が…止まらない・・



それから数日後の雨の日

その日は車ではなく歩きで…駅からマンションに向かって、約一年暮らしたこの町からもうすぐ去るのかと感傷に浸りながら雨の中、傘をさして歩いていた。

しばらく歩いていて、ふと、傘をささずに佇む青年が目に入った。

雨にうたれたせいで大分感じが違うが、見覚えがある。……比嘉の御曹司…。

…あまりの愚行に軽く溜め息を吐き、バックの中から折り畳み傘を取り出し、近づいた。

彼の目の前に立つと168センチという女としては高めの身長の私より2・3センチ位背が高いようだったが俯いているためよく分からなかった。

少しして彼が怪訝そうな顔で私を見たので、私は無言で折り畳み傘を差し出した。

下手なことを言っては逆効果だと思い、言葉は何も発さなかった。

彼は怪訝そうな顔をして私を見るだけだった。



いつまで経っても受け取ろうとしないので軽く溜め息を吐き、彼の手に折り畳み傘を握らせその場から立ち去った。


そして、数日後のまた雨の日

車でいつもの道を走っていると、また雨にうたれている青年が目に入った。
近づくと青年の様子がよくわかる。
彼は酷い怪我をしていた。生々しい傷痕が車の中からでも見てとれる。
溜め息を吐き、車を止め、傘をさして彼の元へ向かった。

「…また会ったわね。」
私の言葉に反応して彼はゆっくりと顔をあげた。

「…酷い怪我ね。
一本くらい折れてるんじゃない?」
私は彼の反応なんか無視して話を進める。
「さぁ」
「・・家来る?」
私の言葉に彼は不可解そうな顔をした。
「…何言ってんの?」
「気が向いたのよ。
貴方、人を欲してるような感じがするし」

比嘉財閥の一人息子…彼にかかっている重圧は並大抵のものではないだろう。

反応からして私の事は知らないようだし、少し相手をする気になった。


彼はゆっくりと肯定と取れる動きをしたので、車に乗せ家に向かった。

私は何も聞かなかった。彼からも何も言わないまましばらく走り、自宅の高層マンションの地下駐車場に車を止め、私は無言で車を降りた。

彼も私に倣って車を降り、私の後に付いてきた。


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