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春雨
【純愛 恋愛小説】

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Rainy day vol,2-3

2月下旬

正式な辞令を受け取った私は、約一年暮らしたマンションの荷物を纏め始めていた。


ある晩
RRR…

突然、私の部屋の電話が鳴った。
「…はい?」
『…あ、春美?』
電話の相手は姉だった。
「由紀姉?
どうしたの?」
『ねぇ、大分前に話したお見合いの事覚えてる?』
「……お見合い?」
『忘れたの?
比嘉財閥とのよ。』
しばらくの間の後、思い出し、
「あー…、そんな話もあったね。」と、答えた。
『思い出した?
日取り決まったわよ。』
姉の言葉に、一瞬言葉を詰まらせた。
「……っ…まだ生きてたの?」
『当然じゃない。
えっと、3月30日ね。
場所は名古屋の〇〇ホテル』
「…ちょっと待って!
30日って引っ越し終わった後よ?」
『問題ないでしょ?
釣り書き送るから見といてよ?
じゃ、忙しいからまたね。』
姉は私に有無を言わせず電話を切った。


受話器をおいて、
「あの話、まだ生きてたの…?」
と、呟きソファーにもたれ掛かった。

祖父たちの為の形だけのものだとは分かっている。…でも、気分が乗らない。

私の頭に一人の青年の顔が浮かび、私は、自分でも驚いた。


・・何であの子が・・?

以前は金髪の青年の顔が浮かんでいた。

でも、今、浮かんできたのは…
何度か見掛けただけのあの冷たい眼をした青年だった。

・・ジャックの事を忘れられたって事かしら・・。

溜め息を吐いて、紅茶を入れようとキッチンに向かった。

次の日
仕事を終えてマンションに帰るとポストに封筒が入っていた。
綺麗な字で書かれた宛名。
裏を返すと差出人は『内山由紀子』。

釣り書がもう届いたのかと溜め息を吐いて部屋へ向かった。



部屋に入り、封筒をリビングのローテーブルの上に置いて着替えるために寝室に入った。

それから、食事を済ませてリビングに戻ってきて、ようやくテーブルの上の封筒の存在を思い出した。

「…あ」
溜め息を吐いて封筒を開けて中から見合い写真と茶封筒をとりだし、写真を見て、驚いた。

・・この子・・。

写真に写っているのは、学生服を着た黒髪の青年…。

…二回見掛けただけで私の脳裏に焼き付いて離れなかった…あの青年・・。

茶封筒を開き、中から紙を取りだし目を通す。


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