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春雨
【純愛 恋愛小説】

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Rainy day vol,2-2

「適当に座って」と言ってキッチンへ行った私に
「一人には広すぎね?」と、部屋を見回していた兄が言った。
「あー、確かに広いけどこの位ないと不便だよ?」
2LDKの部屋の間取りを考えながら答えた。

「ここ置くよ?」
冷たい麦茶をテーブルに置き、
「布団ないからソファーで寝てよ?」と、私は兄に言った。

「うわー、ひでぇ扱い」
「急に訪ねてきたそっちが悪いんでしょ。」
「まぁな。
あ、着替え置いてっていい?」
兄の言葉に
「はぁ?」
と、つい不機嫌そうな声を漏らしてしまった。
「…いいじゃん、別に」
「……今度来たとき無くなってても文句は言わせないわよ?」
「…お前、ホント俺に冷たいよな」
「春姉達が甘すぎるだけでしょ」
兄は三つ子で二人姉が居る。因みに長男だが兄は跡継ぎではない。

「あ、由紀姉から何か預かったとかない?」
見合いの件を思いだし尋ねた。
「姉さんから?
…いや、別に?」
「そっか、ならいいや。」
「って、言うか俺が春美んトコ泊まるって知らないし。」
「…あー…」
ならば預かっているはずがないと、盛大な溜め息を吐いてやった。


「…何、そのため息。」
「……別に。
夕飯は?食べてきたの?」

ふと時計を見れば針が7時を指していた。
ちょうど夕飯時だ。
「まだ。
何か食べ行くか?奢るよ?」
「宿代替わり?
…付き合っても良いケド、運転もしてもらうからね。」
クスクスと笑いながら私は車の鍵を兄に投げ渡し、私たちは部屋を出た。


次の日の朝
兄は私の出勤時間に合わせて家を出て実家に帰った。

兄の置いていった洋服を見て捨てようかとも思ったが、有名ブランドのものであることに気付き断念した。

兄には悪いことをしたと思うが、久しぶりに緊張を解き、リラックスした時間を過ごせた事を嬉しく思う。

ーーー
それから、いくら待っても姉から見合いについての連絡は一向に来なかった。


その後、私も重要な仕事を任されるようになり、忙しく日々を過ごしていた為、元々乗り気ではなかった見合いの件は完全に忘れていた。


・・そして、約半年の月日が流れた。


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