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《The pretty devil》
【少年/少女 恋愛小説】

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《The pretty devil》-7

「どうした?蚊でも付いてたか?」
俺は不敵に笑った。
「なっ!?」
その反応はもっともだ。とどめを刺すつもりで放った技がノーダメージなのだからな。
「高校の空手はよ、ポイント制なんだろ?どれだけ威力のない技だろうが、決まれば一本勝ち。それで試合終了だ」
俺は一歩踏み出す。奴は額に汗を浮かべて後退した。ふん…喧嘩は逃げ腰になったら負けだぜ。
「これは空手の試合じゃねぇんだよ。先輩」
色男の美形が、身の恐怖に歪む。
「喧嘩に一本勝ちはねぇからな。意識ブッ飛ぶまで殴り合うんだよ!」
俺は一気に間合いをゼロにする。唐突な突進に反応の遅れた奴は、構えも取れずに俺の頭突きをまともくらう。奴は苦鳴を漏らしてのけぞる。前歯のへし折れる手応えが在った。
「どうよ?空手に頭突きはねぇだろ?」
俺は奴の胸ぐらを掴み、二〜三度頭突きをくらわすと、そのまま右ストレートに持っていく。頑に顔ばかり狙うのが、俺の嫌みな所だ。奴の顔面に拳をめり込ませ、大きく吹っ飛ばす。激痛に叫びながら転がる奴の頭を、さらにサッカーボールのように蹴飛ばした。ぐしゃりとした不気味な感触を感じ、灰色のコンクリートが赤く染まる。顔ばかりじゃ、下半身が寂しがるな。肋骨、みぞおち、金的。躰中をタコ殴りにすると、もはや苦煩の声は聞こえなくなっていた。
「気を失ったか…」
「克也…アンタ、手加減って知ってる?」
「忘れた」
紀子の言葉にぶっきらぼうに応じると、俺は失神した奴の顔にライターの火を近付ける。ちりちりと音がなり、皮膚が焼ける異臭が鼻を突いた。
「あぢぃ!!」
「あっ、起きた起きた。しかし、随分と不細工な顔になったなぁ」
奴は起き抜けに俺の顔を見ると、悪魔でも見たかのように逃げ腰になる。
「ひいっ…」
「そんな情けねぇ声出すなよ先輩」
俺はわざとフレンドリーに顔を近付け、胸ぐらを掴んだ。
奴はまた頭突きでもされると思ったか、きつく瞼を閉ざす。
「俺、言ったよな。アンタは一つ、勘違いしてるってよ」
奴は顔中から鮮血を溢しながらうなずいた。
「アンタ、紀子を守るとか言ってたけどよ、それが違うんだわ」
紀子が微かに眉を寄せた。
「いいか。良く覚えとけ、新井紀子はなぁ、其所ら辺の男に、守られなきゃならねぇ程、弱い女じゃねぇ。悪魔を守れるのは、悪魔だけだ」
紀子は、
「何だよそれ」
と言って苦笑する。
「こいつは、悪魔に成れる器じゃなかった。そう言う事だ」
俺は取り出した煙草で、放心する色男(?)を刺し示した。
「さてと、いきなり俗な話しになるが、お前、紀子の体操着を何処にやった?」
男は我に帰り、血だらけの顔を何故か秋山へと向ける。
「そうだ…それだよ。それが腑に落ちなかったんだ…」
「何よ急に…」
奴の言葉に紀子が小首をかしげる。
「何で、僕だけがこんな目に逢うなきゃいけないんだ?そこのチビも共犯じゃないか!」
俺は呆れた。
「何言ってんだよ。お前が秋山の放尿シーンを携帯で撮影して、脅しをかけたんだろ?不可抗力だよ。秋山に罪はない」
「携帯で放尿シーンを撮影!?何で僕がそんな悪趣味な事をするんだ!?見損なうなよ」
俺と紀子は途方に暮れた。話しが噛み合っていない…。
「撮影、してないのか?」
「するか!僕にそんな趣味はないし、殴って脅しただけだ。それに、そこのチビだってちゃっかり紀子の体操着をもらってたじゃないか!僕は上、そいつは下。同罪だよ!なのに、何で僕だけ…」
俺は恐る恐る、紀子を横目にする。嚇努に燃え上がる双眸。熱情に震える肩。全身に漲ぎる殺意の波動が大気を席巻し、温度を急低下させるようだ…。やっちまったよ…。


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