投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

春雨
【純愛 恋愛小説】

春雨の最初へ 春雨 5 春雨 7 春雨の最後へ

Rainy day-2

「まぁ、わざわざありがとう。
春美ちゃんはいくつになったの?」

「今年、20です。」
「もう、20?
早いわねぇ…うちの孫も今年17だから当たり前だけど…」
「将生くん…でしたっけ?」
「ええ。
今ヤンチャしてるから…捕まえても見逃して頂戴ね」
「将生くん…でしたっけ?」
「ええ。
今ヤンチャしてるから…捕まえても見逃して頂戴ね」
夫人はそう言って苦笑した。

「まぁ…。
一人っ子でしたっけ?」
私も夫人の言葉に苦笑した。
「えぇ。」
「私は、兄弟多いんで羨ましいですわ。」
「そうかもしれないわね。
…由紀子ちゃんは元気?」
「えぇ。相変わらず忙しく働いてます。」


しばらく談笑し、私は比嘉家を出た。


それから約1ヶ月後のある日…

5時までの勤務を終え、車で家へ帰っているときだった。

駅の近くの公園の横を通り掛かった時、私はブレーキをかけて車を止め、公園内に目を遣った。

「・・1対いくつ?…10…13…?」
私の視線の先には、様々な種類の制服の男子学生に囲まれているにも関わらず、凛とした冷めた態度の一人の男子学生が居た。

彼は次々と襲い来る奴等を倒していった。
全てを避けきれず攻撃を受けることもあったが…彼は強かった。

名も知らない彼の凛とした冷たい態度がひどく印象に残った。


数日後・夜
RRR…

自宅の電話が鳴った。

「はい?」
『…あ、春美?』
電話の相手は姉だった。
「由紀姉?
どうしたの?」
『比嘉会長から連絡来たらしいわよ?
もう、べた褒めってさっきお祖父様から連絡きたわ。』
「ま、一応は…ね。」
『でね、比嘉会長とお祖父様が久々に会うための口実として将生くん?と春美のお見合いの場を設けたいらしいんだけど…。』
姉はサラッと言った。
「…は?…お見合い?」
『えぇ。
でも、結婚前提ってワケでもないし別に問題ないでしょ?』
「それはそうだけど…」
『…今、彼氏居るの?』
私の煮えきらない態度に姉が言った。


「…居ないけど」

そう、今は居ない…。
帰国前に別れたから・・。

『なら問題ないでしょ?
後で釣り書送るわ。
日程は…忙しい人達だし、まだ分からないから判明次第連絡するから。』

「…分かった。」
私は力なく呟いた。
ただ、祖父達の再会の為に設けられた名前だけのものと分かっていても、気乗りしなかった。


春雨の最初へ 春雨 5 春雨 7 春雨の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前