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春雨
【純愛 恋愛小説】

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Rainy day-1

春…

私はイギリスから帰国した。

ここ5年位イギリスで生活していたから日本が新鮮に感じる。


「春美、お帰り」「みぃ姉お帰り〜。」
実家に帰ると、姉弟が迎えてくれた。
もちろん、忙しい上の姉兄達は揃っていなかったが。


12人姉弟・・。有り得ない人数に溜め息が出る。

そんな大人数なのに私が留学する余裕があるのは私の家が大財閥だからだ。

両親は宇宙開発に携わっているため、滅多に帰ってこないし、会うこともない。

私達を育ててくれたのは向かいの屋敷に住む内山財閥会長である祖父と祖母、そして、長姉…。

内山財閥の第5子…。この意味が分かる人は居るだろうか?


私がイギリスへ留学する際の姉との約束で『就職は日本で』と、いうものがあった。

イギリスの大学迄を卒業し、日本に帰ってきたが・・。



「内山、これ30部コピーしとけ」
「内山さん、2時までにさっきの書類あげといてよ?」
「はい。」

返事をして与えられた仕事を片付け始めた。

・・日本のこの体制にはヘドが出るわ…。

やっぱり、無理を言ってでも向こうに残れば良かったかな?…選択間違えた?

自然と溜め息がでる。


国家公務員として警察に就職した私は、研修を兼ね某地方都市で働いていた。

素性をバラして、変な目で見られたくないから隠していたけど……経歴は偽っていないから、妬みが凄くてウザくて仕方がない・・。


この都市には祖父の旧くからの友人が住んでいる。

ここで一年間暮らす以上は挨拶に行かなくては…と、比嘉家へ挨拶に向かった。


「…あら…春美ちゃん?
随分久しぶり…。
イギリス行ってるって聞いてたけど、戻ってきたのね。」
和服を着た初老の女性ー…比嘉財閥会長夫人が笑顔で迎えてくれた。

「御無沙汰しております、おば様。
1年こちらの県警でお世話になることになりましたのでご挨拶に…」
笑顔で私は言った。


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