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クリスマスに願うこと
【幼馴染 官能小説】

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クリスマスに願うこと-3

「義文、えっちゃんが来てるわよ」
「ん。俺の部屋でちゃっかりくつろいでる」
俺は居間で茶を飲みながらテレビを見ている母親に告げた。母親がテレビから俺に視線を移すと、咥えていた煎餅をぽとりと落とした。
「な…な……何よ、その大量の服は!?」
指をぶるぶる震わせながら、母親は俺を指差した。
…何って、言われても困るんだけど。俺はここでもリアクションの激しい相手に頭を抱えたくなった。
どうして、こう家の中は表と真逆なんだろうか。少しはお前等も雪でも被って頭を冷やせってんだ。
「まさかアンタ、部屋を綺麗にしてえっちゃん襲っちゃう気ね!?」
「………。」
阿呆だ。どいつもこいつもネジが一本外れたくらい阿呆だ。
もう一言すら返すのも嫌になり、俺は無言で脱衣所に入った。

今日も元気に乾燥機がフル活動だ。以前は家中に竿やロープを張り巡らせ服を干していたが、科学の進歩と親父のボーナスのお陰でこの様な画期的アイテムを手に入れたのだ。
ブォンブォンと回転し続ける乾燥機に感謝をしつつ、持って来た大量の服をカゴに入れ、持ってきた服を鳥肌の立った下半身に履き代えると、大俺は股で二階に向かう。
「義文〜、く・れ・ぐ・れ・も、えっちゃんにおいたしちゃ駄目だかんねッ」
あはははは、と背中で母親が冷やかした様に笑って言う。
…全てを通り越して、もう放っておいてくれないものだろうか。



「よっちゃん、雪降ってきたよ」
部屋に入ると英津子は窓を指差した。しんしんと降り積もる雪が、明日も頑張ってね、と嘲笑うかの様だ。
はぁ、と溜め息を吐き、英津子を見る。奴は手元の漫画に真剣な様子である。
「何読んでる?」
ひょい、と覗くと可愛いお姉ちゃんが裸であんあん言ってる漫画だった。
「…興味あんの?」
無言で俺の夜のお友達を熟読している英津子に聞く。別に今更恥ずかしい事は無いし、読みたいなら貸そうか?って感じだ。
「公務員が読むエロ本について考察してんの」
………う、てめぇイイトコ突いてくるんじゃねぇか。
思わず言葉に詰まる。公務員と言う肩書きは、ちょっとダメージがでかい。………って言っても小さな町役場に勤めてるだけなんだけど。
「んー、公務員の岡井義文は、SM趣向でレイプ願望有りの妄想鬼畜野郎ね。もし警察のご厄介になる様な事が有ったら、きちんと証言してあげるわ。『以前から危ない奴だったんです』ってね」
笑っているが目は恐ろしく軽蔑の色を含んでいる。んな事で怒るなよなぁ……って、お前の方がプライバシーの侵害だろ。
ため息を吐きながら、俺は漫画を受け取って机の上に放り投げた。
「お前、何しに来たんだよ。ほんとに」
ベッドに腰を下ろし、隣りで難しい顔をしながらまだ書棚を詮索している英津子にぼやいた。
「ん〜。暇潰し」
「お前、今日仕事休みなのか?」
「そうよぉ。イブイブもイブも仕事だったから、休んだって罰は当たらないわ」
……あ、そうか。今日はクリスマスだったっけ。俺は三連休(23が祝日で24が土曜。そして今日、25が日曜)としか認識して無かったからすっかり忘れていた。
町は確かに浮かれきっているが、一ヵ月も前からそんな状態だったし、ケーキやプレゼントなんかこの歳になると縁が無い。
俺が、あーなるほどねぇ、などと呟くと、英津子は右手を俺の目の前に突き出した。
「プレゼント」
「無い」
コイツが言いたい事なんざ、俺だってお見通しだ。ずばっと切り返すが英津子だって負けてはいない。


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