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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?3〜堂々巡りと結論情事?〜-3

――この場合、否定の言葉を何かしら口にするべきだったのだ。しかし、誠司は内容を見抜いた健介に閉口するばかりで、反論や誤魔化し、弁解その他もろもろの全てを何一つ口にしなかった。つまり、言外に「認めた」というのと同義、と見なされる。
正直言うと、それは非常にまずい。何せ内容は、健介が見抜いた通り色恋沙汰。しかも「社長の告白に対する返答」という、希有にして微妙なもの。できれば隠しておきたかった事項である。
さて、どうなってしまう事やら――誠司は生唾を飲み込んだ。
「…いやぁ、良かった良かった。お前みたいのに色恋沙汰ができると、散々合コンの誘いをかけた俺も報われるってもんだ」
緊張が走る誠司の内心などいざ知らず、健介は勝手に頷くばかり。しかし、そろそろ本題に――

「…だが安心しろ。その事について、俺は問い詰めるつもりは全くねぇ」

――入る前に尋問終了。
「お前が五日間も悩むって事から、変に問いつめるのも野暮な問題だろうしな」
しかも丁寧に、その理由を一緒につける。
「…まあ、これだけは言っとく。いくら考えても答えが出ないんだったら、実際に相手と付き合ってみろ。そうすりゃ、相手のわからない部分もわかるようになるぜ?」
そして最後に、妙な助言とともに誠司の肩を叩くと、妙に堂々とした態度で悠々と去っていた。誠司はそれを、ただ茫然と見送るばかり。
だが、不思議な事に意外には思わなかった。

思い返してみると、健介はいずれ明かされるような程度の秘密にはかなりしつこく聞いてきたが、プライベートや個人的な秘密については大した追及をしてこない。話しぶりからして「大体」の内容は見抜いているらしいが、「大体」で満足して「詳細」まで聞いてきた事は一度たりともない。
つまり健介は、聞くべき事とそうでない事をわきまえている――という事になる。

(……健介に感謝、かもな)
ともあれ、誠司からしてみれば、余計な問題がついてくる事なく助言をもらうという一石二鳥の結果。彼は健介に感謝し、それから再び堂々巡りの思考を始めた。

――「付き合う」という選択に比重を置いて。


――その後、昼食中。
(…結局…午前中では結論が出なかった…)
誠司がいるのはKIRISAWAカンパニーから徒歩で数分の、コシの良さに定評がある蕎麦屋。そこで彼は、頼んだ蕎麦が来るのを待ちながらため息をついていた。
(…片方向きに考えても、結局堂々巡りなんだよなぁ…)
せっかく健介から助言をもらい、付き合うという選択に比重を置いたにもかかわらず、誠司はその選択に対して結局躊躇してしまっている。

しかし、仕方がないのだ。
付き合うという選択肢は、最悪の場合互いに禍根を残す、ある意味における賭け。数日前に知り合ったばかりの相手に対してその選択を採る事は、相当の危険が伴う。

(…どうするかな…)
そして誠司が行き着く所は、結局ジレンマ。
(…少し考えるのは止めておこう。これから飯食うのにぐるぐる考えてたら、食事が不味くなる)
とりあえず堂々巡りの思考を中断し、誠司はこれから来るであろう食事に意識を傾ける事にした。
「お客様」
と、店員から声がかかる。来たか、と思って誠司は顔を上げたが、視線の先にいた店員はそれらしき物は何も持っていない。
「申し訳ございませんが、他のお客様との相席をさせていただいてもよろしいでしょうか」
誠司が軽く首を傾げていると、店員は申し訳なさそうな口調で彼に問う。どうやら空いている席が少ないらしい。
「あ、構いませんよ」
特に相席を嫌がる理由もない――誠司は別に気にしていない、といった様子で、相席を了承した。すると店員は「ご迷惑をおかけします」と言って立ち去る。客を連れてくるつもりなのだろう。
誠司は湯気の立つ茶を啜りながら、相席の相手を待つ事にした。
ややあって、店員が客を伴って戻ってきた。


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