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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?2〜初めての合コンといきなりの告白-3

――つまり、彼が傾向分析をしている理由の半分は、近日中に就任する事になる課長職に対する備えなのだ。
もっとも誠司に、それを軽々しく口にするつもりはない。自分の急な昇進を自慢する趣味はないし、そもそも今は近くに、自分に席を明け渡す羽目に陥った課長がいる。そんな彼の前で軽々しく口にするのは、自分自身が低俗に見えて嫌なのだ。
故に問う健介へは答えをぼかし、はぐらかす事を試みる。
「それより健介、お前こんなトコで油売ってていいのか? 昼休みはとっくに終わってるぞ」
「そりゃ知ってるさ。だけど知ってるだろ? 俺は『優秀』ってやつなのさ。多少油でも売っておかねぇと、どんどん仕事が片付いちまうのさ」
「全く、ナルシストなのは大概にしとけよ」
「そりゃ無理な相談だ。……で、だ」
不意に、健介の顔がずい、と迫った。飄々とした顔ながらも、どこか圧すような雰囲気を漂わせ、彼は誠司を見据える。
「逸らし方が露骨なんだよ。分析の理由、半分くらい隠してんだろ」
直球にして的確な指摘。誠司は内心で面倒くささを抱きながら、言葉を返す。
「……なんでそこまで知りたがるのさ」
「出たな、尻尾。んな質問返しちまったら、隠してるのがバレバレだぜ」
したり顔。手を止めた誠司は、健介の勝ち誇った様子にため息を投げつける。
「……はいはい、降参」
そもそも、彼に対して下手な隠し事は無理だった――早々に見切りをつけて、誠司は手をひらひらさせる。
「だけど、ここで答えられるような話じゃないな」
しかし白状しても、理由の明示だけは避けておく。
明かせば健介は必ず何らかのリアクションを取る。そうすれば否が応でも自分達は目立ってしまう。それは結果として誠司が望んでいない事、すなわち課長への刺激を与える事へとつながってしまう。
その心中を察したか、或いは察せずとも思う所があったのか。
「……わぁったよ。でも退社したら絶対に教えてもらうぜ? どのみち今日は合コンだから、逃げられると思うなよ?」
食い下がる様子を見せつつも諦めた口調で、健介はそれ以上の追及をやめた。内心で胸を撫で下ろしながら誠司は手をひらひらさせる。
「わかったわかった。だからとっとと席に戻れ、いい加減に大目玉食らい……」
と。ふと誠司の手がぴたと止まる。
「……待った」
「ん? なんだ、この場で言う気になったか?」
「違う。『今日は合コン』って、お前どういう事だ」
「いや文字通りの話だが」
きょとんとした顔。対して誠司は彼の腕を掴み、苦虫を噛み潰した顔で睨みつける。
「まさか、俺もそれに参加させられるのか? 聞いてないぞ、お前」
「聞いてない? いや、昼頃にメールしたぜ?」
「昼頃ってお前、俺が呼び出されてたの知ってただろうが。それで携帯のメールをチェックしてると思ってるのか、おい」
知らぬうちに空いた方の手を握りしめる誠司。静かな怒気に、さすがの健介も額に汗を浮かべる。
「あ、いや、それはすまん。忘れてた。だから落ち着けって」
「お前な……っ」
なおも誠司は言い募ろうとするのだが。
「んんっ!」
響き渡る、わざとらしい咳払い。思わず振り向くと、はるか向こうの課長席に座す課長が、眉間に皺を寄せながらパソコンと相対する様子が見えた。
それを見た途端、一気に熱が冷める。
「っと、悪い。俺いい加減戻るわ」
それは健介も同じだったらしい。掴む誠司の手が緩んだ途端に素早く腕をひっこめ、そそくさと自分の席に戻っていく。
「とりあえずメールだけ確認しとけ。ちなみに今回お前は強制参加だから覚悟しとけ。じゃなっ」
ただ去り際に早口ながらもそんな事を言い置いていく辺りは、やはり健介らしい。
全く――パソコンに向き直りながら、誠司は密かにため息をついた。そのまま作業を再開しようとしたが、そこでふと健介が昼頃に送ったというメールの事が気にかかる。
曰く「合コンへの誘い」。そして誠司の参加は半ば強制らしいが、一応は目に通しておくべきだろう。そう考え、懐からすっかり旧型と化した携帯電話を取り出す。
いい加減にスマートフォンへの買い替えを検討しなければ、などと明後日の話を考えつつメールを確認すると、確かに健介からのメールは届いていた。

『Title:彼女いない連中に朗報!
彼女に恵まれない男達の為のキューピッドから連絡! かねてより計画していた合コンの男メンバーが、今日になって足らなくなった! なわけだから、お前達を誘う!退勤後、○○駅の改札前に集合な!』

普段の会話とさして変わらぬ文面。誠司はやれやれとため息をつきながら、携帯を懐に戻す。

――こういった点からはあまり想像できないが、健介はかなり優秀な人材だ。
課内のみならず、部署内での業績も常にトップクラス。
仕事の完遂率はさる事ながら、自分が前に出るべき時や相手を立てるべき時を理解し、その時々で最も適切な役割を担う。故に課内では、信頼の置けるムードメーカー、そして万能社員として定着している。

(……合コン、か)
その健介だが、何故か彼女のいない男達を把握している。そして彼らを「面子が足らなくなった」という名目で、しばしば合コンに誘ってくる。
どういう意図でそういう事をするのかは不明だが、それで相手ができた者もいて、「そういった意味」でも健介は頼りにされている。
しかし誠司は、合コンというものが苦手だ。だから誠司は普段から「合コンの誘いはしないでくれ」と断りを入れていたりする。
しかし健介はまるで聞く耳を持たず、頻繁にこのようなメールを送る。そして誠司は毎度適当に理由をつけては断っているのだが――。


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