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伝えたい気持ち
【学園物 官能小説】

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伝えたい気持ち-4

俺達はその日、日が暮れるまで求め合った。
ユウの体を一番に気遣いながらいたけれど、ユウと一緒にいると俺がすぐ復活して、何度も何度も求め合った。
俺はもうユウ以外に考えられなくて、今までの女経験って何だったんだと思った。
ふと外を見ると、すでに夕焼けが空を染めていた。
「ユウ、お前今日俺んち泊まってけよ」
後ろからギュゥッと抱きしめながら、俺はユウに甘えてみた。
「え〜しょうがないなぁ」とかいう返事、期待まんまんで。
「あ、今日はねどうしても家に帰らなきゃいけなくて」
でも返事は期待はずれのもんだった。
ま、仕方ねーよな、そうそううまくはいかねーよな。
俺は残念と思いながらも「りょーかい」とユウの耳にキスをした。
「くすぐったいよ〜」とクスクス笑うユウが、夕焼けに染まった空を見て言った。
「ねぇリュウくん、夕焼け色って別な言い方で何て言うと思う?」
「は?なに、橙色とか」
「もーロマンがないねー。もっとあるじゃんロマンチックな言い方」
「なに、マジで、やまぶき色?ん、待ってろよ、なんだ?」
こーいうわけ分かんねー問題をほっとくことが出来ないタチな俺。
絶対当ててやる、と意地になって考えたけど分からなかった。
「マジで悔しい。つーかヒント出せよ」
「ヒント、ね。じゃちょっと待ってて」
そう言うとユウは帰り支度を始めた。
「は〜マジで帰んのかよ、今度いつ会える?」
俺はユウを帰したくなくて仕方ない。
「子供みたい」とクスクス笑われながら、「また電話して」とユウは言う。
支度が整い、後は荷物をまとめるだけ、という時だった。
「これ、あーげる」
ユウから渡されたのは、バカでかい額のようなものが入ってるらしきバック。
そう言えば家に来た時、何担いで来たのこいつ、とか思ったんだった。
さすがに俺も反応に困った。
「つーか、なに、賞状とか?飾れってこと?」
「違うよ。この中にヒントが入ってんのね。どーしてもわかんなかったら見て」
とか、不思議なことを言い出す始末。
おいおい、俺がはまっちゃった女の子は不思議ちゃんだよ、とか思いつつ、何気にクイズみたいな雰囲気に呑まれて「わかった」とか返事した俺。

そしてユウと俺は、長い長いキスをした。

俺が初めて好きになった女。

俺が初めて心から大事にしたいと思えた女。

また会う時が待ち遠しい。

そして名残惜しいけど、夕焼けの中ユウは帰っていった。


さーて俺は、というと、ユウの存在に嬉しくなったりそわそわしたりで、傍から見るとヤバイやつに思われそうなくらい落ち着きがない。
多分鼻の下伸びてんだよな、今。
ただそれにしても、俺は何度もユウと誰かをシンクロさせてる。
誰かに似ているようで似てなくて…?
まぁ、んなことより、夕焼け色の別バージョンだっけ?
何色っつーんだ、それわかんねーとユウに電話できねーし。
考えるのに疲れた俺は、早速ユウの言うヒントを開けることにした。
しっかしバカでかい額、よく担いで歩ってきたよな。
と思ったが、バックに入っていたのは額ではなかった。


大きな大きなキャンバスに描かれた絵。
それは一面のひまわりだった。
夕焼けに照らされたひまわりが素晴らしい色を出していた。


俺は―――――夢から一気に現実へと引き戻されたような気がした。
なぜかというと、俺はこの絵に見覚えがあるから。
全部が結びつくような気がした。
あの変なメモに書いてあった内容も。
夕焼け色の別バージョンの言い方も。

そして、ユウとシンクロする面影が、一体誰なのかも。

でも、俺は思い出すのが怖かった。
別に変な意味じゃない。生き別れの双子とか、そんな展開じゃない。
でも、この絵を俺はどこかで見て、強く印象に残っている。
そしてユウは何かを俺に託すために、今日ココに来たんだ。
俺にこの絵を渡して、何かを伝えようとした。
それを知ってしまった時、今日が全て夢に消えてしまうような気がしたんだ。

でも、俺が思い当たるって言ったら、一つしかねーだろ。
もう、それしかなかった。
俺は中学の頃、県どころか西日本ブロックで名が通るほど、素晴らしい絵の才能を持っていた。
美術に関しては常に評価が高かったし、俺自身の将来性も明るかった。
勿論、だからといって真面目だったわけじゃない。
チャラチャラしたガキだったけど、美術だけは真剣にやってた。
でも中学最後のコンクールで、俺は地獄に落ちることになる。
コンクール三日前くらいの帰り道、俺は猫を拾った。
首輪にはピンクの鈴が二つ…「張り紙の猫だ」と直感した。
『飼い猫を探しています』の張り紙を電柱から引っ剥がし、俺は飼い主の元へと向かった。


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