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絶世の美女は災厄の女神
【ファンタジー その他小説】

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絶世の美女は災厄の女神-3

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「おらおらおらおらーーー! どけどけどけどけーーー!」
「てめーなんぞにリアさんを渡して溜まるかあーーー!!」
「こら貴様ら、年寄りに親切にせんか! 老い先短い老体の為に道を開けんかバガ共めらっ!」
「うっせージジイ! てめーはさっさと帰って入れ歯の手入れでもしてやがれっ!!」
 どうやら地上を来た連中、途中の大草原へと出たところで、乱闘を始めた様子である。ここでライバルを蹴散らして、一人悠然とリアの元へ馳せ参じようと、マッチョな大男が弱そうな連中を片っ端から投げ飛ばし始めたのがキッカケらしい。
「ぐわぉーー! おでリアとげっごんずる! おまえらじゃまずんなぁーー!!」
 そんな事を叫び、咆哮しながら丸太の様な太っとい(ぶっとい)腕を振り回す大男。
「わしがっ! わしがリアさんと結婚するんじゃっ! それお前達! 邪魔な連中を片付けてしまえっ!!」
 と、蟹のように口から泡を吹き出しながら、雇った家来をけし掛ける、太ったデブの旦那様。
「アチョーー! ホホホホゥーーー!!」
 と、もはや当初の目的など忘れ去り、戦って、戦って、戦い抜く。そんな自己満足的世界に陶酔しきってしまったカンフー野朗。
 人々は、誰彼とも無く飛び掛り、殴り合っての大合戦劇を繰りかえす。そんな戦いが何時果てるとも無く続くのであった。


 同時刻ころ。レオフォールド王国の東の外れにある国境警備隊の砦内では。
「隊長大変です! たった今『モトクーリ山』の麓にある『ナカッソーレ』の街郊外で、合戦が行われているとの連絡が入りました!!」
「なにっ! それは誠かっ!!」
 のん気に砦の中で、仲間達と酒を酌み交わしていた国境警備隊の隊長も、伝令係の報告に思わず声を上げた。しかも驚く事はそればかりでは無い。
「申し上げます! モトクーリ山近くの空域において、正体不明の飛行物体と、無名の竜騎士が一名、戦っているとの報告が来ましたっ!!」
「竜騎士までもが出陣しているのかっ! いったいモトクーリで何が起きているのかっ!」
 隊長は持っていた杯を投げ捨て、声を張り上げ状況の説明を、伝令係に詰め寄り、問いただす。
 するとそれを見ていた参謀の若い騎士が言った。
「ここのところ、東の外れの国『ジパニーグ』が不穏な動きをしているとも、噂を耳にしますからな。騒ぎを起こしているのはもしやジパニーグの連中なのでは」
 別の参謀も言う。
「奴らは怪しげな飛行機械なる物を開発したとかで、わが国の首都を守護する聖竜騎士団のメンバーですら、神経を尖らせているとも伺いましたぞ。最早迷ごう事も有りますまい、恐らくそれはジパニーグ公国の戦略飛行兵器に違いないでしょう」
 そんな参謀達の言葉に隊長は。
(これは他国の侵略なのか、すると合戦と言うのは、敵国兵士とナカッソーレの自警団あたりが、相戦っておるのではなかろうか)
 そう思って疑わなかった。
「ならばその敵、見事撃退して見せようぞ! これより我がレオフォールド竜騎兵団第16分隊は、敵の討伐に出る! 皆の者我に続けいっ! 騎旗(きばた)を揚げよ! ラッパを鳴らせいっ! 何処の馬の骨とも知らん、先走った田舎竜騎兵風情なんぞに遅れを取るでないぞっ!!」
『オオーーッ!!』
 隊長の号令と共に、砦に集いし『レフォールド王国』の屈強な騎士達は甲冑に身を包み、颯爽とドラゴンに跨り空えと舞い上がると、全速力でもってモトクーリ山へと向かったのだった。


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